スローフード協会が実施する ローマ公立小学校の食育授業がおもしろい!|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

新着記事

スローフード協会が実施する ローマ公立小学校の食育授業がおもしろい!|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2024/02/22 09:00

もうすぐ春の訪れですね。
日本の春と言えば新学期。

今日はローマの小学校の食育授業についてご紹介したいと思います。
意外と知られていませんが、ローマはイタリアの他都市に比べ、ハイレベルな食育が行われています。たとえば、もう20年以上も前から全公立幼稚園と小学校でオーガニック給食が実施されています。 3歳から11歳までの子供たちが通う約1000校すべてで有機食材による給食が毎日提供されており、なんとその数ざっと15万4千食/日。 ランチだけでなく1日2回のおやつにもオーガニックメニューが採用されているのです。ローマはイタリア全国でもまれにみる力の入れようで、食育のモデル都市とも言えるでしょう。
「よい食生活を送ることは子供の権利。」このコンセプトを基本とし、ローマ市役所の主導で子供たちへの食育が意欲的に行われています。

1 スローフード協会による小学校の食育授業

2 食育授業のカリキュラムとは?

2-1 テーマ【味覚分析】
2-2 テーマ【オリーブオイルテイスティング】
2-3 テーマ【手打ちパスタ】
2-4 テーマ【シークレットBOX】
2-5 テーマ【ハーブ】
2-6 テーマ【ハーブとスパイス】
2-7 テーマ【赤キャベツでペインティング】



【スローフード協会による小学校の食育授業】

ローマの食育はオーガニック給食だけでなく、普段の授業でも学びの場を設けています。
授業を担当するのは、スローフード協会*ローマ支部。
GOOD(おいしい), CLEAN(環境によい), FAIR(正しい)をモットーとする食文化を提唱するスローフード協会ではローマの公立小学校に、レベルの高い食育プログラムを提供しています。
先日、あるローマ公立小学校でのクラスを視察してきました。
対象クラスは小学校の2年生。7歳の子供たちです。先生はスローフード大学とも呼ばれる、ピエモンテの食文化科学大学で学んだマルティーナさん。授業は10回x2時間のカリキュラムで、数か月にわたり行われます。最終日はこのクラスで学んだことを保護者の前で披露する発表会で締めくくられます。



【食育授業のカリキュラムとは?】

ではそのスローフード協会による授業内容とはどのようなものなのでしょうか。
テーマごとに下記のようなカリキュラムで構成されています。

1.味覚分析

お酢や砂糖、塩を溶かした水などを使い異なる味わいをテイスティング。

《目的》
甘い、苦い、辛い、酸っぱいそれぞれの味覚の違い、特徴を学ぶ。

2.オリーブオイルテイスティング

数種類の産地の異なるオリーブオイルを試食。色を観察し、香りをかいで、後味まで味わう。

《目的》
イタリアを代表する名産物、オリーブオイルの基本的な特徴を学ぶ。地域別の風味の特徴や、良いオイルと劣化したオイルの違いを知る。

3.手打ちパスタ

パスタ職人と作る手打ちパスタ。ローマのパスタ職人が来校、パスタ作りに挑戦。初めて自家製パスタにトライする児童が多い。

《目的》
イタリアの伝統である自家製パスタを家庭で作る習慣を学ぶ。料理をすることに興味を持たせる。自分たちで作ったものを試食して手打ちパスタのおいしさを知る。

4.シークレットBOX

目隠しをした生徒が、箱の中にある食物(野菜や果実)を手で触ったり、においをかいだりしながらその食物が何かを言い当てる。その他の児童がその食物についてのヒントを与えながら答えに導く。

《目的》
視覚を使わずに食物を感知することで、嗅覚などの感覚の敏感さを磨く。
食べ物を表現するあらゆるワードを学ぶ。

5.ハーブ

バジルやローズマリー、ミントにマジョラム。まずはハーブの香りや味わいを知るために試食。その後、袋で覆いかぶせられたハーブを香りと味だけ感じて言い当てる。

《目的》
身体にいい香草の種類や特徴を学び、ハーブを身近な食材として認識する。

6.ハーブとスパイス

ハーブやスパイスでコロッケ作り。多種類のハーブやスパイスを混ぜ込んだジャガイモのコロッケをみんなで作り、試食。

《目的》
成人病の原因となっている現代人の塩分や糖分の取り過ぎを避けるため、ハーブやスパイスだけ、もしくは適量の塩や砂糖でおいしく料理の味付けができることを知る。

7.赤キャベツでペインティング

カットした赤キャベツと市販のピンクの着色料でコーティングされたラムネ。
両者をそれぞれ入れた袋にお湯を注ぎ、溶けだした色の違いを観察する。

《目的》
食物には自然の色と添加物による人工的な色付けがあることを知る。
添加物の含有、食品の裏ラベルをしっかり読む大切さを学ぶ。


なんとバラエティーに富んだ授業内容!子供たちはどのテーマも体験&体感しながら学ぶのですが、食材の香りを嗅ぐときや味見をするときの顔つきがすごい。私が普段参加するワインやオイルテイスティングに来ている大人と変わらない真剣さには、こちらも息をのむほどでした。
そしてこれらの授業の中で特に驚いたのは、赤キャベツや赤い野菜に含まれる栄養素アントシアニンからくる自然の色と添加物による人工着色の違いを教えていたこと。7歳の児童に対して‘アントシアニン’の説明をするとは!思わずマルティーナ先生にその話題は早くはないかとおそるおそる聞いたところ「生徒たちは明日になればアントシアニンという言葉は忘れるかもしれません。でもこの年齢からこういった話題に慣れること、これが大切なのです。」ときっぱりと答えてくれました。さらには「社会格差や国籍関係なく、すべての子どもたちが正しい食育を受け、大人になってからではなく子供のうちから食の重要さを学ぶ。これはローマ市が今もっとも力を入れている政策の一つなのです。」と続けるマルティーナ先生。事実、この小学校はローマ郊外の移民の家族が多く住む地域。自治体のプロジェクトとして、こういった最先端の食育が一部の私立小学校ではなく、広い範囲の地域で行われているのです。「食材の鮮度や品質に敏感になること、食の安全性を理解すること、そしておいしいものを楽しみながら食べること。これらのことを学ぶ食育は数学や国語の授業よりも大切なのです。」なるほど。たしかに食について小学校から学ぶのは自然で、だれにとっても有益な取り組みであるはず。
医療が基本無償のイタリアでは市民の成人病予防は国の経済対策の一つでもあるのです。
というわけでローマの食育授業は目からウロコの連続でした。
2000年以上前の遺跡が未だ美しい状態で生き続け、世界中の人を魅了するローマ。
いつの時代もローマ人は長い目で未来を見据えることが得意なようです。



スローフード協会*
https://slowfood-nippon.jp/aboutus/
スローフード協会ローマ支部
https://www.slowfoodroma.it/



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。




ダイニングプラスの食品

ここからは、ダイニングプラスで取り扱っているこだわりの食品をご紹介します。

【送料無料】ベルデンソ 無ろ過EXVオリーブオイル 3本セット

オリーブの実をまるごと生搾りしたいわば「100%果汁」をボトル詰めした「無ろ過エキストラバージンオリーブオイル」。ろ過していないので、風味も栄養もオリーブの実そのまま。

トスカーナ産IGPエキストラバージンオリーブオイル

IGP獲得トスカーナ産オリーブ100%。力強く辛みがあり、香り高いオイル!

ダッテリーノトマトのトマトジュースづけ (皮なし)

南イタリア指定農家プチトマト使用。旨味の強いトマトを丁寧に皮むきをしてトマトジュース漬けにしたホールトマトタイプのトマト缶。




<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

>食品通販「ダイニングプラス」はこちらから

閉じる
新規会員登録キャンペーン ¥1,000割引クーポン