ブレスAOPバター


特徴 歴史 生産者エトレ AOP認定 ブレス地方とバター


「純粋な詩のような・・・」と表現されたバター
<フランス ブレス産AOPバター>


ブレス産バターは、ノルマンディー地方のイズニー、エシレ村を始めとするポワトーシャラント地方に続き、3番目にAOP認定を受けました。

「ブレス地方」… フランス中東部に位置するアン県を中心とする地域が昔のブレス州で、現在もブレス地方と呼ばれています。 最高の鶏肉といわれるブレス鶏をはじめ、シャロレー牛やコンテチーズ、グルヌイユ(食用カエル)なども有名です。




ブレス産バターの特徴

ナッツやクルミを思わせる力強い味と香り

ブレス産AOPバターは、ブレス産の牧草とトウモロコシを主に餌とし、1年の半分以上を放牧されて育つモンベリアルド種(茶と白のフランス原産の乳肉兼用種)の牛乳を主に使用して作られています。

モンペリアルド種 ブレスのバター

たんぱく質を多く含むモンペリアルド種の牛乳は、餌に含まれるトウモロコシにより脂質分が高められ、さらに水分を適度に含むブレスの土壌が育む青々とした牧草により色合いと香りも濃くなり(※バターの色や香りは季節により変動します。青草の少ない冬はバターの黄色身が薄く、夏は濃くなります。)、バターになった時に他のバターにはみられない力強いコクと香りを生みだします。

以前からAOP認定を受けている2地域、西部のノルマンディ地方やポワトー・シャラント(エシレ村等)地方のバターがホルスタイン牛の乳から作る上品な色の白いまろやかバターであるのに対し、若干野趣的とも表現できる、色の濃い、ナッツやクルミを思わせるコク深い味わいを持つのがこのブレスAOPバターです。


バターの歴史

ローマ時代には食用というよりもスキンクリームなどとして使われていたというバターは、実は貧しい人達が食べるものと見なされていたそうです。
その美味しさが認められて人気が出てきたのは17世紀頃。
中世は主に北フランスで使われてきたバターでしたが、ノルマンディ地方やシャラント地方の良質なバターを使うようになったパリの宮廷料理が、宮廷に憧れる上流階級を通じて徐々にフランス中に広がっていきました。

ブレスでバターが生産されはじめた年代ははっきりしませんが、19世紀の小説家、ヘンリー・ジェイムズがブレスを訪問した際の回顧録として、「そのバターは純粋な詩のようなもの。1~2リーブル(500g~1㎏)を平らげたものだ。」と書いたのは1877年。

また、19世紀末頃から、リヨンが美食の都と言われる理由のひとつとなった”リヨンの母(メール リヨネーズ※2)”達の名声を高めるのに貢献したのはブレスの良質なクリームやバターがあったからとも言われています。

そうして人気の出てきたブレス産バターは、当時は各農家ごとに作られており、大変手間がかかるため、1930年代には各農家がミルクを持ち寄ってバターを作る共同体が作られ始めます。

その結果、均質で良質なバターがまとまって作られるようになり、数々のコンクールでメダルを取るなど、他の有名生産地に引けを取らない良質バターとして、ブレス地方料理にととまらず、フランスの他の地方でも使われるようになりました。

※2 19世紀末から20世紀初頭にかけて上流階級の料理人をしていた女性たちが、自分たちのお店を開いて人気を博したことから、彼女たちをメール リヨネーズと呼ぶ。

生産者エトレ

エトレ


エトレ酪農協同組合(Laiterie Cooperative d' ETREZ)

新鮮な乳と伝統製法で作り上げるバター

ブレスのAOPバターは、リヨンから北東約70㎞、アン県のエトレ酪農協同組合(通商「エトレ」)により製造されています。

エトレは、「自分たちの自慢の牛乳で高品質な伝統的製品を作りたい」と地元エトレの酪農家たちにより1936年に設立されました。


エトレ


彼らの作るAOPバターは、厳しい審査の末、AOP認定を受けた20件の酪農家から毎日運ばれる新鮮な牛乳を使用し、伝統的な「チャーン」製法でバターマイスターと呼ばれる熟練の職人の手により丹精こめて丁寧に作り上げられています。


2012年AOP認定

申請から10年の歳月を経て、2012年5月フランスのバター生産地域としては25年ぶり3番目にAOPとして認められました。

バターの効率的生産地としては、後発のブレス地方ですからAOP申請も遅れたのですが、その間に認定を行うINAO(Institute National de l'Origine et de la Qualite/フランスの原産地呼称委員会)では、たくさんの確認項目が作られてきました。

その確認項目ひとつひとつを丁寧にクリアしていった結果、申請から認定まで10年もかかってしまいました。
INAOのホームページで"Beurre de Bresse(ブレスのバター)"の項目を見ると、製法から準備方法などがひときわ細かく定められています。

AOPマーク


AOP(Appellation d' Origine Prote'ge'e)とは…
AOP(原産地統制呼称)伝統的な製法でつくられて質の高い農産物製品で作られた質の高い農産物製品を広く一般の消費者に知ってもらうために作られたフランスの原産地呼称委員会(INAO)が管理する制度で、基となる法律は1955年にまでさかのぼります。

製造過程および最終的な品質に厳しい審査があり、特定の証券を満たしたものにのみ付与される制度です。
AOPは特定のテロワールや伝統的な製造法を利用して作られる最高品質のグルメの証なのです。
AOP認定後は自動的に欧州委員会に転送され、(EU全土における原産地統制呼称制度)に登録されることになります。


ブレス地方とバターについて

メモイメージ




パンと


パンに!
空気を程よく含み、軽い口当たりで比較的スプレッドしやすいバターです。適度に常温に戻すとよりクリーミーさを感じます。


お菓子と


お菓子に!
甘みと合わせることでさらに香ばしさが増します。


料理に


料理に!
加熱する際に泡が細かく均一であることもブレスバターの特徴です。




貴重なブレスのバターをぜひご賞味ください。バター好きの方には特におすすめです。

ブレス産AOPバターにアルプスの岩塩を加えた加塩タイプも発売中!
フランスでは無塩タイプに並んで人気のドゥミセル(加塩)タイプのバター。ですが、ブレスは海のない内陸の地。残念ながら海塩も岩塩も取れません…。
そこで、隣接するアルプス地方の岩塩を使って美味しいバターを作りました。

>>『 ブレスバター ドゥミセル(加塩) 』
岩塩は、粒状でバターに入っているので、時々、舌にその粒を感じます。バターのミルク味に混じって、塩の粒があたり、クセになる美味しさです♪併せてお試しください!!