肉グルメにはたまらないローマの精肉屋と肉の伝統料理|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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肉グルメにはたまらないローマの精肉屋と肉の伝統料理|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2023/12/11 09:00

わたしが住むローマのテスタッチョは市内の中心部に位置したにぎやかな地区。ローマの郷土料理を提供するおいしいトラットリアがたくさんあることでも知られています。
この街の伝統的な肉料理のルーツをたどると、その歴史的な背景からこの地区に源があることがわかります。



【ローマ肉料理の歴史】

(現代では屠殺場の建物をそのまま生かして「MACROマクロ」というモダンアート美術館になっています。)

1891年、テスタッチョ地区に屠殺場が開設されました。その後約100年近くのあいだ、ここから首都全土に精肉が供給されていました。牛や羊の一番おいしく食べやすい部位が富裕層に売られた後、残ったものを精肉屋さんたちが家に持ち帰り調理していました。その売れ残りを使った料理が、まさに今すっかりポピュラーとなっているローマの肉の郷土料理の根源なのです。
みなさんは「クイント・クアルト」という言葉をご存じでしょうか。イタリア語で‘四分の五’という意味。つまり牛や豚などを解体し、4等分したうちの5番目、内臓や頭、尾っぽなど売り物にならない部分のこと。「クイント・クアルト」の部分はトリッパ、腎臓、心臓、肝臓、脳やタン、牛肉は尾の部分まで。ローマの人たちはこの「クイント・クアルト」が大好き。庶民的なトラットリアだけでなく、ミシュラン星付きレストランでもシェフたちがあえて「クイント・クアルト」を使い、洗練されたイノヴェーティヴ料理を生み出してしています。



【精肉屋での肉の買い方】

こういった背景からテスタッチョ地区には、今も精肉屋さんが数多くあります。何世代にもわたって続いているお店も珍しくはありません。 どのお店でも牛や豚に対する敬意、精肉屋の誇りみたいなものが感じられます。 精肉屋では牛、豚、羊、鶏、七面鳥と、あらゆる肉が販売されており、量り売りが基本。

どの肉を何グラムくださいというと、店員さんが注文を受けてから大きな包丁で肉をカットしてくれます。 さらにはどういう風に調理すればよいか、おいしく食べるためのコツまで教えてくれます。 常連客たちは「業務用?!」ってくらいみんな両手で持ちきれないほど大量に買っていきます。



【ローマの肉の郷土料理】

コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ

わたしは子供のころは肉が嫌いで、家でも学校給食でも苦労したのですが、ローマに来てからというものいつの間にかすっかり肉食になりました。
肉を堪能できるようになった理由は、イタリアの肉のおいしさゆえで、やわらかい肉質、苦手としていた脂身部分でさえやわらかく、臭みがないことなどです。さらにはやっぱりワインと合わせた時のおいしさがたまらないというところにあります。
特に、ローマ郷土料理の牛テールのトマトソース煮込み「コーダ・アッラ・ヴァッチナーラ」は大好物の一つ。テールの骨の周りについた肉はほろほろとやわらかく、ナイフなしにフォークだけで食べられます。長時間も煮込んだ肉の味が染みこんだトマトソースの最後の一滴までおいしいのです。家庭ではよくこのトマトソースを翌日パスタに絡めていただきます。肉が入っていなくとも肉の味がソースにしっかりのこっていて食べ応えのあるパスタになります。
「スペッツァティーノ」という角切りにした肉の煮込みも、ローマの食卓によく登場する定番料理。豚肉や仔牛肉を使うのが一般的です。玉ねぎ、にんじん、セロリをみじん切にしたものと肉を炒め、じゃがいもやグリーンピース、ビールを加えてコトコト長時間煮込みます。

牛肉のハンバーグ「ハンブルガ」

(ハンブルガを成型する精肉屋と、ズッキーニの花入りバージョン)

ミンチを使った料理も多くあります。
中でも日常的に食べるのが「ハンブルガ」とよばれる牛肉のハンバーグ。日本のハンバーグとは違いつなぎも何も入っておらず、ビーフの赤身部分だけをミンサーで挽いて、丸く成型したもの。フランスのステーク・アシェ(ステークアッシェ)です。
精肉屋さんにはミンチを押し付けてハンバーグ型に丸く成型する道具があり、注文してから作ってくれるところもあります。わたしの行きつけの精肉屋「ナシーニ」では表面にズッキーニの花をおしつけて成型した、なんともローマらしいものやハーブや野菜を混ぜ込んだものなどもありバリエーション豊かなハンバーグが売っています。赤カブとルーコラ入り、ほうれん草と干しブドウ入りなど、あれもこれも買いたくなります。
食べ方はさっとフライパンで焼くだけ。外は香ばしく、中はジューシーに仕上げるためにあまり焼きすぎないよう注意します。イタリアらしく、仕上げにたっぷりとオリーブオイルをかけていただきます。塩やレモンもお好みで。肉そのもののクオリティー、おいしさがシンプルに堪能できる一品です。夕食のメインに、またパンに挟みパニーノにしてランチに食べることも。肉肉しいうまみを、簡単な調理で味わえるのでとてもポピュラーな料理です。

有名精肉屋「アンジェロ・フェローチ」の色とりどりの肉料理

野菜のおいしいイタリアでは、ハンバーグ以外にも野菜とのコンビネーションでできた肉料理がたくさんあります。ミンチとパン粉、パルミジャーノチーズを混ぜてこねたものをナスやズッキーニに詰めてオーブンで焼いたり、ちりめんキャベツで巻いてトマトソースで煮込んだり。これらはすべて精肉屋さんが自家製で作るもので、それぞれのお店に名物があるのです。
ローマの旧市街にある有名精肉屋「アンジェロ・フェローチ」。ショーケースに並ぶ何十種類の商品。色とりどりの肉料理には前を通るだれもが足を止めます。見ているだけでうっとりするこれらの商品は、もはやアートの世界。かなり値段の張るものもあり、ローマの人たちがこの店のことを肉屋ではなく、‘ジョイエッレリア‘=宝石店と呼ぶのがよくわかります。

牛肉のタルタル

昔の自分を思い出すと信じられないのですが、「タルタル」や「カルパッチョ」といった生肉も大好物になりました。牛肉のタルタルはイタリアではまさに今、秋に食べるのが一番です。なぜならできたての新油が出る時期であり、フレッシュなオリーブオイルをたっぷりとかけ、うすくスライスした薫り高い白トリュフを合わせて食べるという贅沢な食べ方ができるから。とろりとした肉が口の中で赤ワインとともにとけていく瞬間が最高です。

老舗「アンティーカ・マッチェレリア・アンニバレ」

ローマの有名精肉屋と言えばもうひとつ名前のあがるのがここ。1888年創業の老舗「アンティーカ・マッチェレリア・アンニバレ」。重工な店舗のドアには牛の頭のモチーフが彫られていて、大理石とタイルでできた店舗には牛のオブジェや絵画が壁から天井にまで飾られ、まるで美術館。お店に一歩足を踏み入れただけで牛への敬意が感じられる空間。このお店のキアニーナ牛のカルパッチョがすばらしいのです。熟練の店員さんが大きな包丁で巨大な塊から、うすーくカットしてくれるのですが、これがザ・職人技!という感じで見とれてしまいます。

牛肉のカルパッチョ

このカルパッチョはトロの刺身のようにやわらかくとろけるような食感。お店の前にはこれまた老舗のエノテカ(ワインバー)「ブッコ―ネ」があり、アンニバレのカルパッチョがワインに合う一品としてメニューに載っています。肉の繊細な甘みを味わいたいので、ロゼワインを合わせるのが好きです。肉のうまみがじゅわっと広がったところでワインを一口。こうしてどんどんワインも料理も進んでしまうのです。

「スカロッピーネ」に「サルティンボッカ」、「ストラッチャテッラ」に「ポルペットーネ」。肉を使ったローマの郷土料理はまだまだあります。
そしてローマだけでなく各地に肉の伝統料理が存在するイタリア。 
おいしいお肉を食べつくしたい欲は、まだまだおさまりそうにありません。



データ:
テスタッチョ精肉屋「ナシ―ニ」
https://www.nasinicarni.com/

有名精肉屋「アンジェロ・フェローチ」
https://www.angeloferoci.it/

老舗精肉屋「アンティーカ・マッチェレリア・アンニバレ」
https://www.annibale.com/

老舗ワインバー「ブッコ―ネ」
https://www.enotecabuccone.com/

現代美術館「マクロミュージアム」
https://www.mattatoioroma.it/



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。




ダイニングプラスの牛肉

ここからは、ダイニングプラスで取り扱っているおすすめの牛肉をご紹介します。
フランス、オーストラリア、国産牛になります。

ビーフ100% ひき肉ステーキ(ステークアッシェ) 100g×2

シャロレービーフ100%、挽き肉のステーキ。つなぎは使わず牛肉のみ。 またいわゆるトリミング肉(端肉)ではなく、厳重な衛生管理ができるブロック肉を原料にしています。

仔牛オッソブーコ(オーソボッコ/輪切り骨付きスネ肉)

離乳後、牧草地で飼育されたグラスフェッドヴィールの輪切り骨付きスネ肉。ト煮込み料理にすることで身はホロホロと柔らかく、骨の周りのお肉や骨の髄には旨みがたっぷり!

赤身肉を味わう はなが牛モモ ローストビーフ

じっくり低温調理で、しっとりやわらかに仕上げたローストビーフ。赤身肉本来の旨味、サシが少なくあっさりとした味わい。

お塩で食べたい!はなが牛100% ハンバーグステーキ

まるでステーキ! 乳成分・卵・小麦を使わずブランド熟成牛肉のうまみにこだわったハンバーグです。




<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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