「チケットは販売開始から、わずか6分で完売!」
このニュースが、イタリアの新聞に掲載されたのが7月。翌日に慌てて申し込んだものの、すでに完売。なんとか主催者にお願いし、チケットを入手することができました。
いったいどんなイベントになるんだろう?
そんな期待を胸に向かったのが、パルマで開催された 「CENA DEI MILLE(チェーナ・デイ・ミッレ)」。そして実際に参加してみたら想像以上にすばらしかった!
「チケットは販売開始から、わずか6分で完売!」
このニュースが、イタリアの新聞に掲載されたのが7月。翌日に慌てて申し込んだものの、すでに完売。なんとか主催者にお願いし、チケットを入手することができました。
いったいどんなイベントになるんだろう?
そんな期待を胸に向かったのが、パルマで開催された 「CENA DEI MILLE(チェーナ・デイ・ミッレ)」。そして実際に参加してみたら想像以上にすばらしかった!
舞台は、パルマの中心街。
街の大通りに、なんと全長約400メートルにも及ぶテーブルがずらりと並びます。
そこに着席するのは、1000人のゲスト。
一夜限り、普段は街の広場である場所が、巨大なオープンエアのレストランへと姿を変えます。
開催日のお昼にパルマに到着。想像していたものの、そのテーブルの長さに驚き。どこまで続いているのかどんなに背伸びをしても最終点が全く見えない!
テーブルセッティングなど大ディナーの準備が進められる中、写真撮影をするツーリストですでに大いに賑わっていました。
1000人が同じ時間に、同じコース料理を楽しむ。それだけでも圧巻です。
そして今年のゲストシェフを務めたのは、カンパーニャ州を代表する2つ星シェフ、ジェンナーロ・エスポジト氏 。
イベントはディナーの前、街の広場でアペリティーボからスタートしました。
ここからすでに、美食のパルマが全開。
パルマハム、クラテッロ、パルミジャーノ・レッジャーノ、パスタ、そして地元のワイン……。
パルマ、いやイタリアを代表する名だたる食品メーカーや生産者が一堂に会し、広場にはずらりとスタンドが並びました。
ドレスアップした地元の紳士淑女たちが、楽しそうに試食&試飲。
観光客向けのイベントではなく、パルマの地元の人たち自身が自分たちの街の食文化を楽しんでいたのがとても印象的でした。
アペリティーボを楽しんだ後、いよいよディナー会場へ。
400メートルにわたって続くテーブル。
白いテーブルクロス。整然と並べられた食器とグラス。
そして、その席を埋めていく1000人のゲスト。
夕暮れが近づくにつれて、パルマの街そのものが少しずつ「レストラン」に変わっていくようでした。
言うまでもなく、運営する側にとっては至難の業です。
料理を一皿ずつ運び、サービスをし、ワインを注ぎ、食べ終わったら次の料理へ。
しかも400メートル。その壮大なディナーを支えていたのが、ALMA(アルマ/イタリア国際料理学校)の生徒たちをはじめ、イタリアソムリエ協会、そしてさまざまな団体から集まった何百人ものスタッフでした。
料理を運ぶ人。
サービスをする人。
ワインを注ぐ人。
それぞれが自分の役割を担いながら、まるで一つの大きなチームのように動いていきます。
1000人の食事を、ほとんど一つの流れとして進めていく。そのオペレーションにも、思わず見入ってしまいました。
そして、料理も素晴らしかった。
2026年のディナーは4皿のコース。
アンティパストは、トマトのヴェルタータにクリスピーな野菜、エビ、バジルオイル。
そしてプリモは、ジェンナーロ・エスポジト氏による、
Minestra di pasta mista con pesci di scoglio 魚介といろいろな形のパスタのミネストラ
さまざまな種類のパスタと岩礁魚を使った、南イタリアの海を感じさせる一皿です。
北と南の食文化が一つのテーブルで出会うのも、イタリアならではのおもしろさです。
メインは牛肉に、桃とトリュフを合わせた一皿。
そして最後は、ALMA調理師学校によるデザート。
4皿を通して、パルマとイタリアの食文化を存分に堪能。
(写真中央:ジェンナーロ・エスポジトシェフ)
そして、ディナーの最後。
この瞬間が、今回のイベントで一番印象に残りました。
なんと、テーブルの端から端まで、ジェンナーロ・エスポジトシェフ、ALMAの生徒たち、そしてスタッフ全員が一列になってパレード。400メートルのテーブルの横を、誇らしく歩いていく彼らに1000人のゲストからは、大きな拍手と歓声。料理を運んでくれたスタッフにも、ソムリエにも、学生たちにも、会場から惜しみない拍手が送られました。
それまで汗だくで走り回っていたスタッフたちも笑顔いっぱい。その光景を見ていると、単なる「ディナーイベント」ではないとつくづく体感しました。イベントは最高の盛り上がりの中で幕を閉じました。
パルマには、パルマハム、クラテッロ、パルミジャーノ・レッジャーノ、パスタ、ワイン……。
イタリアを代表する食材を生み出すメーカーや生産者が数多く集まっています。
でも、この夜に感じたのは、単に「おいしいものがたくさんある街」ということだけではありませんでした。
食の生産者。
食品メーカー。
自治体。
料理教育の機関。
ソムリエ。
料理人。
そして市民。
みんなが一つになって、自分たちの土地の食文化を誇りを持って発信している。
そして、それを1000人規模のイベントとして、見事に形にしたその企画力と運営力にも、大いに学ぶものがありました。
そこには、「私たちの街には、こんな素晴らしい食文化がある」という誇りが感じられました。
その誇りが、街全体から伝わってくるようでした。
やっぱりパルマって、すごい!
「CENA DEI MILLE」はパルマという街が、自分たちの食文化を、街そのものを舞台にして世界へ発信する一夜。そこに暮らす人たちの「シビックプライド」を、ひしひしと感じることのできる、忘れられないお祭りでした。
関連リンク
> Cena dei Mille, biglietti esauriti in sei minuti: nuovo record di vendita - Comune di Parma
ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。
サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。
AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。