ピザやパニーノよりも人気?!イタリア各地に存在するトルタ・サラータ|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

ピザやパニーノよりも人気?!イタリア各地に存在するトルタ・サラータ|ヒサタニミカさんのイタリアレポート
2024/10/25 09:00

イタリアには各地方に伝統的な「トルタ・サラータ」が存在します。
トルタ・サラータとは、いろいろな具材をパイ生地やピザ生地につめて焼きあげた詰め物タルト。専門店もあれば、ベーカリーやピザ屋、お惣菜屋でもかならず売っているイタリアの定番ストリートフードです。
〈ティエッラ〉や〈ピッツァ・リピエーナ〉とも呼ばれ、エンダイブ(*1)やビエトラ(*2)、ほうれん草など、一般的に野菜を炒めたものが具材に使われます。生野菜ではなく、調理した野菜をたっぷりと詰めるので結構食べ応えがあります。包む生地もバターが入ったもの、卵が入ったもの、もしくはシンプルに小麦粉と水、オリーブオイルだけで練り上げたものと地方によっていろいろでパリッとした生地もあれば、もちっとした生地もあります。
家庭でもパイ生地だけ既製のものを買い、冷蔵庫の余り野菜や、前日の残りの野菜を炒めて作ります。この郷土食の良いところは野菜がたくさん食べられるところ。野菜嫌いでもトルタ・サラータなら食べるという子供も多いそう。
ピザと異なり、具材を生地でまるごと包んでいるので持ち運びしやすく、紙袋に入れてランチやおやつにそして週末のピクニックまで、みんな気軽に持参しています。シンプルでいくら食べても飽きることのないこのトルタ。まさに日本におけるおにぎりの存在のような、イタリア人のソウルフードなのです。

*1 エンダイブ:ヨーロッパ東地中海沿岸原産のキク科の野菜です。特有のほのかな苦味が特徴。
*2 ビエトラ:葉が緑色で葉脈や茎が赤、黄、白などの葉物野菜です。クセのない味で、サラダやソテーなどにして食べられています。



【伝統的な各地のトルタ・サラータ】

では全国にあるトルタ・サラータでも、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

ティエッラ・ディ・ガエータ:ラッツィオ州
ティエッラといえばガエータ。ラッツィオ州はローマの南部にある海岸の街です。
ここはオリーブの名産地。オリーブの実の塩漬けとエンダイブという野菜を炒めたものや、海岸の村ならではの魚貝類とトマト、オリーブを炒めたものがポピュラーな具材。どれも丸形のピッツァ生地に詰めたもので、食べ応えがあり、一切れでもおなかいっぱいになります。
街にはティエッラ専門店がたくさん並び、お店の周りには香ばしい香りが漂っています。そして誰もが必ず自分のお気に入りの店をもっています。 子どもから大人までみんな大好きな地元の名物料理です。

エルバッツォーネ:エミリア・ロマーニャ州
エルバッツォーネまたはスカルパッツォーネ(方言)は、中部イタリアのエミリア・ロマーニャ州にある街、レッジョの郷土料理。 もともとは庭に生えている野生のハーブとラード(豚の背脂の塩漬けを熟成したもの)が具材として使われていました。
昔は「アル・ソル」と呼ばれる銅製の丸い型に入れてパン焼き窯で焼かれ、レッジョ・エミリアの街中で、そのおいしさを競い合っていたそう。現在では具材にはビエトラという葉野菜やほうれん草が使われます。
レッジョの街にはエルバッツォーネのお店がたくさんあります。わたしこれを初めて食べたとき、パリパリとした薄いパイ生地の香ばしさとみっちりと詰まったビエトラとラードのコンビネーションに感動したのを今でも覚えています。
パイ生地はオリーブオイルを練り込み薄く伸ばしたもので香ばしく、軽く食べられそうに見えるのですが、パンチェッタ(豚の頬の塩漬けの熟成)やラードが入っているのでけっこう満足感のある食べ応えです。丸形でなく四角い形の天版で焼き上げるのもこのエルバッツォーネの特徴で、はさみで切り分けて食べます。ラードが入ってわりと脂っこいので、地元の赤の発泡酒、ランブルスコに合わせるのが好きです。エミリア・ロマーニャ州に行ったときには必ずたくさん買いこんでローマに持ち帰り冷凍しています。

シュトゥルーデル・サラート(塩味):アルト・アディジェ州
アルプス山脈の広がる、イタリア最北端の州アルト・アディジェ州。 ここには有名なシュトゥルーデルという伝統菓子があります。 甘く煮たリンゴやドライフルーツがパイ生地に詰められたものですが、この具を野菜炒めにしているのが、シュトゥルーデル・サラート(塩味)です。 デザートのストゥルーデルと同じく、細長い長方形の形をしています。北イタリアはオリーブの生産には向かない土地で、オリーブオイルではなくバターを消費するため、シュトゥルーデル・サラートにはバター入りのパイ生地が使われます。 野菜だけでなく、この地方の郷土食材であるチーズやハムも入っていてちょっとご馳走感があるのが特徴。アルト・アディジェ州のフルーティーで辛口の白ワインがよく合います。



【個性的なティエッラも】

最近、わたしが虜になっているのがこのトルタ・サラータ。
ローマにある切り売りピザの店「ELIGIO FATTORI エリジオ・ファットーリ」のもの。生地の包み方が面白いのです。

大きく伸ばした1枚の生地をカットすることなく具材を包み、上部で餃子のような方法で閉じています。これはピッツァ職人のエリジオさん独自の包み方。 薄い生地ですが、もちっとした噛み応えがたまりません。具材も一般的なエンダイブやほうれん草もあれば、かぼちゃのクリームや、赤玉ねぎをビネガーで炒めたものなどさまざまなバリエーションがあります。
できたての熱々は唸るほどおいしいのですが、翌日に食べると具材の味が生地に浸透していてまた違うおいしさが味わえるのです。



【ナポリ風トルタ・サラータ】

この郷土料理にはバターを生地に入れないので、「タルト生地」を使用します。
イタリアでは北イタリアの一部でバターを使いますが、それ以外の地方ではバターそのものがほとんど生産されないため、油といえばオリーブオイルか豚脂です。

(写真左:出来上がりをカットしたもの。写真右:エンダイブを炒めた具材。)

  <材料>~4人分~

◆ タルト生地            500g
◇ エンダイブ(ほうれん草でも可)  1株
◇ エキストラバージンオリーブオイル 75ml
◇ にんにく             2片
◇ 唐辛子              小1本
◇ アンチョビフィレ         2枚
◇ 小粒オリーブの実の塩漬け     60g
◇ 松の実              40g
◇ 干しブドウ            50g
◇ 塩                適量

<作り方>

①エンダイブの根元の固い部分を取り除き、水でよく洗う。
②松の実をフライパンで2~3分軽く焼く。
③フライパンにオリーブオイル、つぶしたにんにく、粗みじん切りにした唐辛子とアンチョビを加え全体的に木べらでなじませる。
④水洗いしたエンダイブを加えてよく混ぜ、蓋をして3~4分加熱する。エンダイブがしんなりしたところで塩をひとつまみをふり、炒める。
⑤さらに火を強め、エンダイブから出る水分を蒸発させる。
⑥オリーブの実と干しブドウを加え、さらに2~3分加熱する。塩で味をととのえ、軽く炒めた松の実を加えれば具材のできあがり。
⑦できた具材を丸形の型に敷いたタルト生地に包む。
⑧180℃のオーブンで30分ほど表面に焼き色がつくまで焼く。少し冷ましてからいただく。

みなさんも季節の野菜を使ってイタリア人のソウルフード、トルタ・サラータをぜひお試しください!



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。




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2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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