養蜂家がオープンしたローマの高級ハチミツ専門店「Mieloteca ミエロテカ」|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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養蜂家がオープンしたローマの高級ハチミツ専門店「Mieloteca ミエロテカ」|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2026/04/23 09:30

人類最古の甘味、ハチミツ。
健康と美容面にポジティブな効果を発揮するハチミツは、砂糖に比べるとカロリーや糖質が低く、疲労回復のための栄養補給にも役立つ、優れたエネルギー源でもあります。ビタミンやミネラルも豊富で、毎日でも食べたい天然食材です。
私もそんなハチミツが大好きなのですが、今ちょうどマイブームになっているお店があります。
1年前にローマにオープンした高級ハチミツ専門店「ミエロテカ」です。
「Le Api di Papa(レ・アーピ・ディ・パパ)」という自社ブランドで、養蜂家ディエゴ・アルフィデオさんが採取する20種類近くのハチミツ、さらには栄養補助食品、コスメ商品も取り揃えられています。



【「レ・アーピ・ディ・パパ」の多彩なハチミツと移動養蜂のこだわり】

ディエゴさんの養蜂は独特で、一か所に巣箱を置いて蜜を採取するのではなく、中部から南部イタリアを巣箱ごと移動しながら養蜂を行っています。
定住型の養蜂とは異なり、移動養蜂は気候や花の開花に合わせてミツバチの群れを移動させる方法です。「レ・アーピ・ディ・パパ」では、現在およそ600の巣箱が各地に配置されています。
定住型だと植物の種類が限定されますが、移動型だと各地の珍しく個性的な花の蜜も採取できるため、このような非常に手間とコストのかかる生産を行っています。
年々の気候の変化により、移動させる場所や期間も変わっていきます。ミツバチたちの移動は夜間に行われ、中部から南部イタリアにかけての適した地域へと運ばれます。

さらに、できるだけ無農薬の植物からハチミツを採取するため、移動する前にその土地の情報を地元の保健所に確認するという徹底ぶり。ミツバチが健やかに過ごせるよう、環境選びにも細心の注意を払っているそうです。

ちょうど私がお店を訪れた4月には、ディエゴさんはプーリア州の柑橘畑に巣箱を配置するために移動しているところでした。4月は柑橘の花が開花する時期で、南部から始まります。
また、柑橘の木々はミツバチによる受粉で果実の実りが良くなるため、生産者から「養蜂による受粉サービス」を依頼されることも多く、そうしたネットワークから巣箱の配置場所を選んでいるそうです。



【個性豊かなハチミツのラインナップ】

このようにして生まれる「レ・アーピ・ディ・パパ」のハチミツはとても多彩です。
マルケ州のヒマワリのハチミツや、アブルッツォ州とモリーゼ州にまたがるコリアンダーのハチミツ、さらには花の蜜ではなく特定のアブラムシの分泌物から作られる珍しいハチミツ「メリッタ(甘露蜜)」など、個性豊かな種類が揃います。

中でも最も高く評価されているのが、アブルッツォの国立公園で採れるミッレフィオーリ(イタリア語で「千の花」を意味する百花蜜のことです)。標高1500メートル以上の高地に咲くさまざまな花の恵みが詰まった特別なハチミツです。
これらの繊細な特徴を生かすため、加熱処理もかなり低温で行われているとのこと。
こうしたこだわりの生産方法が高く評価され、ディエゴさんのハチミツはイタリアのハチミツコンクールで数々の賞を受賞。お店の壁は賞状で埋め尽くされています。



【専門店「ミエロテカ」の魅力】

ローマにオープンしたこの専門店では、ディエゴさんの奥様で食のコンサルタントでもあるエリカさんが接客販売を担当しています。
店内にはワイングラスがずらりと並び、それぞれに単一種類のハチミツが入っていて、試食しながら選ぶことができます。
私が特に気に入ったのは、コクのある栗のハチミツと、珍しいコリアンダーのハチミツ。
そのほかにも、ショウガやウコン、リンドウ、シナモンなどを加えたスパイス入りハチミツや、アカシアハチミツに漬け込んだドライフルーツ、カカオ豆など、料理にも使えるユニークな商品が充実しています。
さらに、ハチミツを使ったラムやアマーロ(食後酒)、自社生産の化粧品、かわいらしいパッケージのキャンディーなども並びます。

リピート客も多く、贈答品として選ばれることも多いそうです。
ハチミツは、オリーブオイルやワインと異なり、疑似製品が多く存在するにもかかわらず見分けが難しい食材。だからこそ、このお店では丁寧な説明をしながら販売しているのだとエリカさんは話してくれました。 ハチミツを愛する夫婦が営む「ミエロテカ」は、何時間いても飽きないお店です。



【イタリア人のハチミツの楽しみ方】

イタリアでは、ハチミツはチーズと合わせて食べるのが一般的。
熟成タイプや風味の強いチーズには、栗のハチミツや百花蜜。
ペコリーノ・ロマーノやパルミジャーノ・レッジャーノとよく合います。
青カビチーズのゴルゴンゾーラには、コクのある栗ハチミツを合わせることで風味がまろやかに。
リコッタやカプリーノといったフレッシュチーズには、アカシアや柑橘系のハチミツがよく合います。
タレッジョのようなセミハードチーズには、栗やリンデンのハチミツがおすすめ。
色が明るいハチミツ(アカシア・柑橘系)は繊細なチーズに、濃いハチミツ(栗など)は風味の強いチーズに、百花蜜は幅広く合わせやすいのが特徴です。
そのほか、ホットミルクや紅茶に入れるのもポピュラーな楽しみ方です。



【ハチミツと向き合うということ】

ディエゴさんは、ローマの小学校で養蜂やハチミツについての食育活動も行っています。
「本物の養蜂は絶え間ない挑戦であり、複雑で労力も費用もかかります。しかし、その分より高品質な成果をもたらし、何よりも私自身を豊かにし、多くのことを教えてくれるのです。」
そんな言葉からも、ハチミツづくりへの深い想いが伝わってきます。

私は毎朝、ヨーグルトにディエゴさんの天然ハチミツを添えていただいています。
遠く離れた土地でミツバチたちが集めた恵みを、こうして日常の中で味わえること。
その背景にある丁寧な仕事や自然との向き合い方に思いを巡らせながらいただく時間も、また特別に感じられます。
忙しい朝の時間に、ほんの少しだけ豊かさを感じさせてくれる存在。
私にとって、このハチミツはそんな小さな贅沢です。



ショップデータ:
ローマ「ミエロテカ」
Mieloteca "Le Api di Papa" a Roma



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。


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