みなさんは「ピザ」と聞いて、どんなピザを思い浮かべますか?
多くの人が、さまざまなトッピングがのった丸い生地のピザを思い浮かべるのではないでしょうか。
(左:ピッツァ・ビアンカ/ 右:ローマの老舗ピッツェリア)
イタリアには想像をはるかに超える多種多様なピザがあります。地方によって、同じ丸い形のピザでも生地の厚さやトッピングが異なります。ナポリは生地が分厚く、ローマのものはおせんべいのように薄っぺらい生地が郷土ピザです。イタリア人に「どちらがおいしいか?」と聞くのはナンセンス。なぜならみんな自分の故郷のピザが一番おいしいに決まっているからです。
そしてどの地方の人々もピザをシーンに応じて様々に楽しんでいます。
1 ピザの歴史
2 ピザの種類
2-1 【ピッツァ・ビアンカ】
2-2 【ピッツァ・アル・ターリオ】
2-3 【ピッツァ・アッラ・テーリア】
2-4 【ピッツァ】
2-5 【ピツェッタ】
3 最後に
【ピザの歴史】
(ローマの老舗パン屋のピッツァ・ビアンカ)
ピザには長い歴史があります。
新石器時代(紀元前10000年から3000年の間)にピザに似た食べ物が存在していたとされ、特にサルデーニャ島では酵母を使ったパンが記録に残されています。ピザは本質的に平たいパンであり、他の材料を加えることでさらにおいしくなります。古代ギリシャやペルシャでは、紀元前500年前後に統治したダレイオス王が盾でチーズとデーツを詰めたパンを焼いたという話があります。
(ナポリのピッツェリア)
また、ナポリの歴史とも深く結びついています。ナポリといえばピザ。
1535年にはベネデット・ディ・ファルコという詩人が初めてナポリのピザについて記述したものが残っており、1600年ごろにはピザを食べる習慣が広まっていったと言われています。
パン生地を薪窯で焼き、ニンニク、ラード、粗塩をトッピングし、「リッチ」なバージョンではカチョカヴァッロチーズとバジルをのせるというレシピがあったそう。
アメリカ大陸の発見とともにトマトがイタリアにも上陸し、そこからピザは大発展を遂げます。トマトは最初、少量の塩とバジルを加えた調理用ソースとして使われていましたが、その後、誰かが直感的にトマトを使い、意図せずして今日のピザが発明されたと言われています。
モッツァレラチーズは1800年ごろに誕生したチーズで、1800年といえば、ピッツァがさらに庶民の間に広まった時代。貴族や君主たちも喜んでピザを食べ、ブルボン家のレセプションのテーブルにはピザが並んだと言われています。
そして2017年にはナポリのピッツァ職人の技が、ユネスコ世界文化遺産に登録されました。ナポリの人たちはサッカーと共にピザを自分たちの文化として、それはそれは深く愛しています。
「ナポリであらゆる社会問題が解決しないのはピザのせいである。」と言った学者がいました。ピザを食べればそのおいしさにどんなに深刻な問題も「まあいっか」というような気持ちになり、みんなでワイワイ食べているうちに何もかもがどうでもよく思えるというのです。これはあながち間違っていないと思います(笑)。
【ピザの種類】
イタリアを象徴するピザにはどのようなものがあるのでしょうか。今日は基本的な5種類をご紹介します。
1.ピッツァ・ビアンカ
ピザというよりは食事パンに近い四角い形の分厚い生地です。
トッピングはなく、生ハムやチーズと共に食べたり、お皿に余ったパスタソースと食べたりします。
生地を半分に割いてモルタデッラハムを挟んだパニーノはローマの代表的なストリートフードです。
パン屋さんのラインナップには欠かせない商品。外側はカリッと香ばしく、中はもちふわ。結構お腹が膨れるのですが、飽きのこないおいしさで子どもからお年寄りまでみんな大好きなピザです。
2.ピッツァ・アル・ターリオ
まさにイタリアのソウルフードがこれ。
食材店には、必ずと言っていいほどこのピッツァが数種類置かれています。長方形で、「アル・ターリオ」(切り売り)の名の通り、量り売りされています。
トッピングはトマトソース、モッツァレラチーズとアンチョビ、ズッキーニの花などシンプルなものが一般的です。好みのトッピングを選んで注文すると、店員が大きな包丁でパン!とカットし、折りたたんで紙に包んで渡してくれます。これにかぶりつくときの幸せといったら!子どもたちの学校のおやつに、ピクニックに、仕事の休憩時間に、時間がない時の夕食になどなど。
ピッツァ・アル・ターリオのお店は日本のコンビニのように、どの時間帯にも常に賑わっています。これほどイタリア人の生活に密着した食べ物はないでしょう。
3.ピッツァ・アッラ・テーリア
「テーリア」とは天板のことで、四角い天版に生地を広げ具材をのせてオーブンで焼きます。生地を天板で焼いた後に、モッツァレラチーズや生のトマト、生ハムなどフレッシュなトッピングをのせるパターンも流行っています。これも典型的なストリートフード。注文するとチョキチョキとはさみでカットし紙盆にのせてくれます。
家庭用オーブンでも作れるため、週末の家族のランチやディナーに自家製ピザがふるまわれることがあります。時間がたっぷりあったコロナ禍のロックダウン中にはイタリア全国でピザ作りが大流行し、ピザ用小麦粉が売れに売れました。
4.ピッツァ
丸形ピザは、ピッツェリアで食べるのが一般的です。これは他のピザと異なり薪窯で焼きあげられます。ピッツェリアは薪窯の火をおこす夜のみ営業するため、ディナー時に食べる料理で、ランチではほとんど食べません。特に南イタリアでは街中のどの区域にもかならず数軒ピッツェリアがあります。みんな自分のお気に入りの1軒をもっていて、家族代々で通っています。
このピザはサッカー観戦時の定番の食べ物でもあります。近所のピッツェリアから家族全員のピザをテイクアウトしソファーでTVを見ながらみんなで食べるというのも典型的なパターン。パスタのようにフォークとナイフを使う必要がなく手で食べられるので、サッカーの試合に集中できるわけです。
5.ピツェッタ
ピツェッタという直径7cm程度のミニピザも人気です。これはカフェでよく見かけ、アペリティフ(アペロ)のおつまみとしてカウンターで食べたり、また仕事の休憩時の小腹を満たすためにテイクアウトすることもあります。わたしも甘酸っぱいトマトソースがのったこの小さなピザが大好きで、しょっちゅう発泡酒プロセッコ片手に食べています。
最後に
最近大流行しているのが、グルメピザと呼ばれるピザ。
ピザは基本「安い、早い、うまい!」というイタリアの庶民的な食べ物ですが、グルメピザは一味違います。
形としては丸形のスタンダードなピザなのですが、選りすぐった高級ハム、珍しいチーズ、からすみ、季節の野菜などを巧みに組み合わせたトッピングが特徴です。また小麦の種類や練り方の秘伝により胃に重くない、一時間後にはお腹がすいてくるような軽やかな生地に焼き上げられています。飲み物はビールではなくワインに合わせるのが一般的。ピッツェリアというよりは、コンテンポラリーレストランのようなお店が多く、新しい飲食業態のカテゴリーを築いているほど。このカテゴリーのピッツェリアからミシュランスターシェフと同様、カリスマ性を持つ職人ピツァイオーロまでが誕生しています。ピザは時代を映す鏡でもあるのかもしれません。
今やストリートフードからグルメシーンまで、多様なロケーションでその地位を確立したピザ。
イタリアでは1日5百万枚のピザが生産されているそう。パスタよりはるかに日常的に消費されている食べ物なのです。ナポリの小路から世界中に広がり、あらゆる世代や国籍の人々に愛され続けているピザ。
あーまた食べたくなってきた!
■ヒサタニミカさんのご紹介
ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。
サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。
AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。
ダイニングプラスの食品
ここからは、ダイニングプラスで取り扱っているイタリア産ピザをご紹介します。
箱入り薪窯ピザ マルゲリータ
化粧箱入で、ギフトにもピッタリ!生地は長時間(24時間)発酵させ、手延ばしで成型。トマトソースとベースにモッツァレラを使用。
箱入り薪窯ピザ 4チーズ
化粧箱入で、ギフトにもピッタリ!生地は長時間(24時間)発酵させ、手延ばしで成型。エダム、アジアゴ、ペコリーノ、グラナパダーノとコクのある4種類のチーズをトッピング。
薪窯ナポリ風ピザ マルゲリータ
もちもち香ばしい26時間発酵生地!日本人の口に合わせて塩分ひかえめに。トマト、バジル、モッツァレラチーズをトッピング。
薪窯ナポリ風ピザ 3チーズ
もちもち香ばしい26時間発酵生地!日本人の口に合わせて塩分ひかえめに。モッツアレラチーズ、エメンタールチーズ、プロヴォローネチーズの3種類のチーズをミックスしてトッピング。
<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。
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