コーヒーは文化!イタリア人の驚くべきカフェ習慣|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

コーヒーは文化!イタリア人の驚くべきカフェ習慣|ヒサタニミカさんのイタリアレポート
2025/02/28 10:00

1 イタリアで最も愛される飲み物、エスプレッソコーヒー

2 コーヒーにまつわるおもしろい習慣

2-1  【カフェ・コルト(またはカフェ・リストレット)】
2-2  【カフェ・ルンゴ】
2-3  【カフェ・ドッピオ(ダブル・エスプレッソ)】
2-4  【カフェ・マキアート】
2-5  【カフェ・コレット】
2-6  【カフェ・フレッド】
2-7  【カフェ・ラッテ】
2-8  【カプチーノ】
2-9  【カフェ・アメリカーノ】
2-10 【デカフェ(デカフェインコーヒー)】
2-11 【カフェ・ティエピド】

3 家庭で楽しむモカコーヒー

4 原材料としてのコーヒー

5 焙煎方法

6 若い世代に広がる新しいコーヒー文化



【イタリアで最も愛される飲み物、エスプレッソコーヒー】

イタリアはコーヒー大国。お茶よりも圧倒的にコーヒーの消費が多い国。
そしてイタリアでコーヒーと言えば、高圧を加えて抽出する「エスプレッソ」を指します。イタリアで発祥したこの飲み物、‘急速’という意味の名前通り、エスプレッソマシンの圧のかかったお湯で一気に抽出します。香ばしい芳香があり濃厚な味わいで、淹れ立てを小さなカップでぐいっと飲みます。日本で一般的に知られるブレンドやアメリカンコーヒーは、イタリア人は「薄い」と感じるようであまり好まれていません。
わたしは日本のアメリカンコーヒーに慣れていたため、イタリアに住み始めた当初、エスプレッソの美味しさを理解するのに時間がかかりました。今では毎日欠かさず飲んでいますが、それほど、エスプレッソは味わいの異なる特別なコーヒーなのです。

【コーヒーにまつわるおもしろい習慣】

イタリアには約33万軒のバール(カフェッテリア)が存在します。100軒に1軒バールがある割合。日本でいうとコンビニみたいに数十メートルごとに1軒ある感じでしょうか。
イタリア人のコーヒーの平均消費量は1日1.5杯。中には10杯近く飲む人もいてカフェイン中毒?!と思ってしまう人もいます。
まずは朝一番。イタリア人はエスプレッソで目覚めます。
その次はオフィスに着いてから。そしてランチのあと。午後のコーヒーブレイク。そしてディナーの後という感じ。

コーヒーにぴったり合う食べ物として、朝食時のコルネット(イタリアのクロワッサン)が最もポピュラーな組み合わせです。ローマでは、生クリームがたっぷり挟まれた郷土菓子・マリトッツォが人気。どちらも甘~いお菓子とほろ苦いエスプレッソの絶妙なコンビネーションが、まさに鉄板です。

驚くべきことに、イタリア人100人いれば、100通りの飲み方が存在します。それぞれが「自分のコーヒー」を持っているわけです。バールで注文するとき、ただ「コーヒー1杯」というのではなく、どんなコーヒーを頼むのか、飲む容器はデミタスカップかガラスのカップか、砂糖の種類、すべてを細かく指定するのです。コーヒーひとつとっても自分の好みをしっかりと把握し、自己主張するイタリア人ならではの国民性が見て取れ、いつでも関心してしまいます。

下記に、イタリアのバールで提供されるコーヒーの代表的なリストをご紹介します。


1)カフェ・コルト(またはカフェ・リストレット)
エスプレッソよりも少ない量の水で抽出された濃いコーヒーです。味がとても強く、濃厚。

2)カフェ・ルンゴ
エスプレッソより多くの水を使って抽出されるコーヒーで、薄めで味がやや軽い。

3)カフェ・ドッピオ(ダブル・エスプレッソ)
2杯分のエスプレッソを1杯にまとめたもの。シングルよりも強くて、濃厚です。

4)カフェ・マキアート
エスプレッソに少量の温かいミルクまたはミルクの泡を加えたもの。
温かいミルクを使った「カフェ・マキアート・カルド」と、冷たいミルクを使った「カフェ・マキアート・フレッド」の2種類があります。

5)カフェ・コレット
エスプレッソにリキュール(グラッパ、サンブーカ、ラム酒など)を加えたもの。
コーヒーに少しアルコールを加えることで風味が増します。

6)カフェ・フレッド
特に夏に人気で、淹れたエスプレッソを冷やして氷と一緒に出されることが多いです。冷たいミルクを加えることもあります。

7)カフェ・ラッテ
エスプレッソに多めの温かいミルクを加えたもので、通常、シングルエスプレッソで作られます。エスプレッソよりも軽くて、まろやかな味わいです。

8)カプチーノ
エスプレッソ、温かいミルク、ミルクの泡を1:1:1の割合で作る、クリーミーでなめらかな飲み物。朝食によく飲まれます。

9)カフェ・アメリカーノ
エスプレッソにお湯を加えたもので、フィルターコーヒーに近い味わいですが、異なる風味が楽しめます。

10)デカフェ(デカフェインコーヒー)
カフェインを取り除いたコーヒーで、エスプレッソに似た味わいですが、カフェインの刺激はありません。

11)カフェ・ティエピド
通常のエスプレッソよりも少し温度が低いコーヒーで、熱すぎず、優しく飲みたい方に適しています。



バールでは立ち飲みが一般的ですが、このバールでのコーヒーブレイクがみんな大好き。バールはコーヒーを飲む目的だけでなく、安らぎの場であり、出会いの場であり、ひとつのコミュニティのようなもの。みんな必ず自分の行き着けのバールがあってそこで延々とサッカーの話をしています。
ナポリには「カッフェ・ソスペーゾ」という昔から伝わる独特の習慣があります。
この‘ソスペーゾ’はイタリア語で‘保留’という意味。バールでコーヒーを飲んだ時に、自分の分だけではなくお金に余裕のない人の1杯分をバールマンに払い、‘保留’してもらうというもの。その保留のおかげで、知らない誰かがお金がなくともおいしいエスプレッソで心も体も温まることができるというわけです。助け合い精神に満ちたナポリならではの文化で、現在も続いています。

【家庭で楽しむモカコーヒー】

イタリア人は家庭でもコーヒーをよく飲みます。「モカ(Moka)」といってエスプレッソ風の濃いコーヒーを淹れるための「モカポット」を使って作るコーヒーです。直火式のコーヒーメーカーで、1933年にイタリアの「ビアレッティ社」が発明しました。ドリップコーヒーよりもコクがあり、抽出マシンで淹れるエスプレッソほどではないがしっかりとした風味が特徴です。ミルクを入れれば、自宅で簡単にカップチーノも楽しめます。
みんな家庭に一人用のサイズ、大人数用といくつかのモカポットを揃えています。

【原材料としてのコーヒー】

そんなコーヒー大国イタリアの原材料としてのコーヒーはあまり知られていません。
イタリアではアラビカ種とロブスタ種をブレンドしたコーヒーが一般的です。アラビカ種にもロブスタ種にも何百という品種があり、コーヒーメーカーごとに独自のブレンドと配合があります。アラビカ種は香りが豊かで酸味があり、繊細な味わいが特徴。ロブスタ種は力強い味わいで苦味が強く、カフェイン含有量もアラビカの約2倍です。ロブスタは低地でも栽培でき、害虫に強いですが、品質によってはナッツやチョコレートのような香りを持つものもあります。
コーヒー豆の配合は絶対の企業秘密であり、ワインのようにメルロが何%、サンジョヴェーゼが何%なんて記載しているところはなく、もちろん規定もありません。
おもしろいのはイタリアでも北部に行くほどアラビカ種の割合が多くなり南ほどロブスタ種の配合が多くなります。たとえば北イタリアのトレヴィーゾに本社を持つ有名メーカーはアラビカ種のものを主流商品としているし、南のナポリに行くとロブスタ種の濃~いドロリとしたコーヒーを飲んでいます。ローマのコーヒーメーカーは半々の割合が多いそう。この話を聞いて「なるほど!だからナポリの人ってアグレッシブなんだ!」「だから北の人は南にくらべると穏やかなんだ!」とひざをたたきたくなるような、大発見をしたような気分になったのですがそれは違うと否定されてしまいました。そんな単純なことではないようで。
でも1日4、5杯も飲む飲料の中にカフェインがたっぷりなのとそうでないのは、頭への影響がぜんぜん違うように思うのは私だけでしょうか。

【焙煎方法】

現在イタリアにある焙煎所の数は約1000軒。
これらの焙煎所は中部/南アメリカからのコーヒー豆をヨーロッパの輸入業者から、購入し、焙煎、製品にしてイタリア各地のバールに卸しているというしくみです。
イタリアで飲まれるエスプレッソはたいてい数種類の豆がブレンドされています。浅い焙煎をしたほうがいい豆もあれば温度をあげて深く炒ったほうがいい豆もあります。多くの大手工場では、多種類の豆を生の状態で先にブレンドしてから一気に焙煎します。小さなこだわりの焙煎工房では特注の焙煎機で、徹底的に豆の特徴にあわせた焙煎をしています。豆の種類ごとに焙煎時間も温度も微妙に変え、別々に焙煎したあと初めてブレンドするのです。焙煎を1回ですますのと、何回にも分けてするのとでは手間隙がまったく異なり、複雑味のあるおいしいエスプレッソになるというわけです。
ここまで手間隙かけた原材料としてのコーヒーも、さらにバリスタの腕、そしてその日の気温や湿度によって味が変わってくるというのですからコーヒーの世界もほんとに奥深いですね!

【若い世代に広がる新しいコーヒー文化】

最近、イタリアでは若者を中心に「スペシャルティ・コーヒー」が注目を集め、専門店が増えています。これはビーントゥバー(Bean to Bar)チョコレートのように、コーヒーをクラフト製品として楽しむ文化です。特定の農園や地域で栽培された豆が使用されることが多く、地理的特徴や栽培方法が味に反映されます。酸味や甘味、フルーツのようなフレーバー、ナッツやチョコレートの風味など、個々のコーヒー豆に独特の特徴が表れます。よりコーヒーの風味を感じるため、ドリップ方式で淹れられます。
消費者の意識も変化し、単なるカフェイン摂取ではなく、個性的な味わいやエシカルな製品を求めるコーヒーラバーが増えているということでしょう。こうした新しい波が、伝統的なイタリアのコーヒー文化とどのように融合していくのか、今後の動向が楽しみです。



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。




ダイニングプラスの食品

ここからは、ダイニングプラスで取り扱っているコーヒーと一緒にいただきたい商品をご紹介します。

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フランス産 マカロン クラシックアソート

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<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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