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2020年パリのクリスマス|フランスレポート

2020/12/11 10:30


COVID-19に始まり、そして終わろうとしている2020年ですが、
皆様ご無事にお過ごしでしょうか。

春から初夏にかけて、フランスでの1回目のロックダウンはパリで過ごした私ですが、
10月末には一時帰国し、フランスの状況を案じつつ今は東京で過ごしています。
フランス人にとって家族との絆を深める大切な行事であるノエルですが、
この状況下で今年はどのように過ごすのか、そして街の様子が気になります。
そこで、シネマ、ガストロノミー、そしてフランスの生活文化を主なフィールドとして活躍なさる
ジャーナリスト、魚住桜子さんに、2020年12月のパリをレポートしていただきました。

桜子さんは、同じくジャーナリストのフランス人のご主人と、15歳の娘さんとパリ16区に在住。
私のレシピ本を活用して料理を作っては感想を寄せてくださる友人です。
それでは桜子さん、よろしくお願いいたします!
上野万梨子


【特別ブログ】|文・写真:魚住桜子


街路樹の葉がすっかり落ちて、グレーの雲がパリの空を覆う頃。 夜がいっそう深まり、人々の心にどんよりとした影を落とす、少し辛い時期がやってきました。 それにしても今年のパリは異例づくしです。 急速に拡大した第2波の到来で10月30日からフランス全土は2回目のロックダウンに入りました。 例年なら10月中旬以降にはクリスマスの特設コーナーが設けられ、街中が沸き立つような高揚感に包まれるのに……。 秋から冬にかけてのパリの風物詩、美術館や画廊のレセプション・パーティー、バレエ、オペラ、観劇やコンサートなど、華やかな社交ライフはひっそりと息を潜めました。


(左:フランス、パリ16区ラヌラグ公園の11月頃の様子 /右:16区パッシー地区ショッピングモール「パッシープラザ」内の店舗シャッターがしまっている様子)

今回のロックダウンは当初、1カ月間の予定でしたが、一時は一日の感染者が8万人を超えるほど拡大して、長引くことが予想されています。 じわりじわりとロックダウンの成果は現れているものの、まだ収束の見通しは立っていません。 今回は前回と違って保育園から高校まで授業が行われているので、自然を求めてメゾン・ド・カンパーニュ(田舎のセカンドハウス)に移動するファミリーもいません。 通常どおりに営業できない花屋やブティックは「クリック&コレクト」と呼ばれる事前に電話やインターネットで予約して店頭で引きとるシステムで営業を続ける店もありました。


(クリック&コレクトで営業を続ける花屋の様子)

11月28日からは3段階に分けて規制が緩和されることになりました。 「クリスマス商戦」をかけて、すべてのブティックの営業再開が認められ、買い出し運動のための外出は1時間以内から3時間に、自宅から1キロ圏内は20キロ圏内に拡張。 21時から翌朝7時までの夜間外出禁止は継続され、反すると罰金135ユーロ(初回)が課せられる規制はしばらく続く模様です。
感染の状況が落ちつけば12月15日からは映画館、美術館、劇場などが再開。 年を越しても休業を余儀なくさせられるのはレストラン、カフェ、ジムなどのスポーツ施設で1月20日頃まで待たねばならない厳しい状況が続いています。

フランスでクリスマスは家族と一緒に過ごす、かけがえのないひととき。 日本のお正月が家族で集まる一年で最も大切な行事であるように、クリスマスイヴは家族が集まり夕食をともにするビックイベントです。 コロナ禍でも今年は特別措置で12月24日と31日は自由に行動することができると発表されたばかり。 フランス人は少しほっとした様子をみせています。 普段は倹約家として知られるパリジャンたちもクリスマスには散財します。 家族のメンバーひとりひとりに贈り物を用意する習慣があるので、準備も大変です。



 11月後半、シャンゼリゼのイルミネーションが一斉に輝きだすと、クリスマスの食材が店頭にお目見えします。 ブレス産のチキン、トリュフ入りのブーダンブラン、フォアグラ、キャビア、スモークサーモン、ビッシュ・ド・ノエルetc。



魚屋さんの店頭ではとびきり新鮮な生牡蠣、ランギュスティーヌ、数種の貝を盛った「海の幸の盛り合わせ」が堂々と鎮座します。



ショコラティエもクリスマスシーズンは年間最大のかき入れ時で、詰め合わせボックスや高価なマロングラッセが飛ぶように売れていくのです。
この時期になると私の自宅近くのパッシー通りは大変な賑わいになり、大きなもみの木を抱えたムッシューや、孫へのプレゼントを車に運び込むパピー(祖父)たちの奮闘ぶりが見られます。


(パッシー界隈のクリスマスショップの様子)

 クリスマス・イヴをどこで過ごすか。フランスの家族や恋人たちは悩みます。 近距離に親が暮らす場合は24日のイヴは妻の実家で、25日の昼食は夫の実家で、そして翌年は交代する家族もあれば、どんなに離れていても、クリスマス前後を妻側と夫側の家族の実家で数日ずつ分けて過ごすファミリーもいます。 友人のクリスチーヌはパリ19区の実家でイヴの夕食を過ごした翌朝、夫の実家があるグルノーブルへ旅立つのが習慣。そして友人たちと過ごす大晦日までにパリに戻ってきます。 離婚率が50パーセントを超えるパリでステップファミリーはまったく珍しい光景ではありません。 元妻や元夫が昔のファミリーと夕食を共にしたり、新しいパートナーや新しくできた子供を伴う場合もあり、十人十色の複雑さ。 クリスマスの時期になるとフランスはカトリックの国の素顔を取り戻して家族中心主義になりますが、たとえ数日だけでも太陽を求めて南の島へ旅立ってしまうファミリーもいます。 我が家はパリ郊外に住む義理の両親とパリ20区に暮らす義理の弟一家、そして私たち一家の三世代が一つの家族の集合体を構成しています。


(クリスマス料理をつくっているキッチンの様子)

毎年クリスマスシーズンに弟一家はマルチニークやグアドループといった南国にエスケープするので、イヴの夜は義理の両親と私たち夫婦と娘の五人で過ごすのが恒例です。 では、クリスマスの家族の集いがないかといえばそうではないのです。我が家では1月1週目のランチが“レヴェイヨン”(クリスマスやお大晦日の晩餐)と決まっていて、不在の罪滅ぼし(?)なのか、料理はすべて義理の弟が拵えます。


(ウニと帆立貝のクリーム添え)


(ウニとスクランブルエッグの前菜)


(クリスマスの飾り付けをしたパリブレスト)

星付きシェフの料理講座に通っていたこともあるほど、食いしん坊の義弟はウニと帆立貝のクリーム添え、一本釣りのスズキのシャンパーニュ蒸し、モリーユ茸とブレス鶏の黄ワイン(ヴァン・ジョーヌ)煮込みなど、毎年、趣向を凝らした料理を作ってくれます。 フランスの伝統的なレヴェイヨンは前菜に生牡蠣、スモークサーモン、フォアグラなどの後に、メインは七面鳥、去勢鶏、ホロホロ鶏、若鶏など家禽類のローストや煮込みが多いといわれますが、実際は家庭によって三者三様。 それぞれの出身地やルーツによって献立は変わってくるのです。


(グランド・エピスリー右岸店と店内の様子)

今年のクリスマスはかつてないほどサスペンス色を帯びています。
地方の実家でクリスマスを過ごしたり、あるいはフレンチアルプスのシャレーで休暇を過ごすことができるのか。 どのような方法で人とつながり楽しみを分かちあっていくのか。 例年とは異なるクリスマスになりますが、平常心とモチベーションを保ちながら心豊かに生きていく術を、だれもが模索しています。


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