ドイツ見本市で出会ったココア|スタッフ海外体験記|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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ドイツ見本市で出会ったココア|スタッフ海外体験記

2022/01/31 10:00


お湯でさっと溶けて美味しいミルクココアの完成!
出会いから工場訪問までのお話しです。

そのココアに出会ったのは2016年のとある展示会でのこと。
オランダで毎年開かれるプライベートブランド専門の展示会でした。この展示会では大手メーカーも小さいブースでの出展が多く、出展社が多い割に回りやすいのが特徴です。その反面、目を凝らしてしっかり見ないと見逃してしまいがちなのが難点です。


(展示会場イメージ)

その日も何か良い商品はないかと目を凝らしておりました。
会場は通路に面してブースがたくさん並んでいますが、時には数社がひとつのブースをシェアしていることもあって、油断すると見落とします。
そんなシェアブースの一角のガラスケースに円筒状の茶色い容器を見つけました。容器にデザインされている絵からするとどうやらココアのようです。でも壁面にあるのは白地に何やら機械のようなものが書かれたポスターで、何を売っているのかよくわかりません。しかもブースには誰もいないのです。

仕方なく回りを見渡してうろうろしていると、スキンヘッドの男性がにこにこしながら近づいてきました。May I help you?
どうやら担当者です。そこで、これってココア?から始まっていくつか質問をしたところ、ドイツのメーカーで、ココアを専門に作っていて、特殊な機械で作っているとのこと。
何だか美味しそうな予感がしてきました。


(左:ココアのパッケージ、右:担当者さん)

ところが「試飲させて」と言うと、「お湯がない」と言うのです。
お湯で溶かして飲めるココアを売っているのにお湯がないとは。商売っ気がない。。。

仕方なく更に話をしていると、ますます興味が湧いてきました。
これだけブースがあるんだからご近所からお湯をもらってきて、とお願いすると、やっと「そうだね」と腰を上げてくれました。
後から聞くと、展示会中、暇な時は仲間のビールのブースで時間をつぶしているらしく(もちろんビールを片手に)、お湯もそこからもらってきたのだそうです。『早く言ってよ』は心の声。


(左:後日別の展示会のビール売店、右:ビールを片手に嬉しそうな担当者)

さて、やっと試飲できました。
美味しくてびっくり!
お湯で溶かすだけのココアはお砂糖の甘みが強くてがっかりすることが多いので、大人になってからは遠ざかっていました。

このココアは、隣から紙カップに入れて運ばれた少し冷めたお湯にもサラッと溶けて、しかもカカオの風味がしっかりしている!

こうなったら早速交渉です。
是非日本の消費者に紹介したい!と言うと、とても不思議そうな顔で「ホントに小売でコレ売るの??」と。
不思議です。こんなに美味しいのに。。。
担当者いわく、小売りは大変だから自分たちは業務用専門でカフェなどに提供している、とのこと。一部ドイツの中で小売はしているけれど、と言うのでどこで売っているのかを聞くと、○○○○○○という有名店の名前が出て来ました。「知らないかもしれないけれど、ドイツでは有名な高級店なんだ」というコメントつきで。すかさず、日本でも有名だよ、と言っておきました。(大手デパートに入っているブランドです。)

いつもなら、これをオリジナルの味にしてパッケージはこちらでデザインして・・・などのステップを踏むのですが、これはこのままで良いから小売で売らせて欲しい、とすぐに伝えました。

そして・・・
販売するなら工場を見なくては!ということで行ってきました!


(ドイツ、ハンブルグ駅)

『ココア』をイメージして思い浮かぶのはフランスやベルギーで、ドイツはあまり結びつかないなぁ、と思っていました。
でも、ドイツらしい!という理由があったんです!

その工場はドイツ第2の都市であり港町としても有名なハンブルグから車で1時間ほどのところにあります。

工場に到着した第一印象は『ドイツっぽい』でした。
白い外壁の四角い建物で、外見の装飾はなく機能重視。外観では何の工場かわかりません。 中に入ってもいたってシンプルで、『ココア』という言葉の印象から受ける甘いイメージは一切ありません。

さて、いよいよ工場見学です。
工場立ち入り用の装備を身に付けて中に入ると・・・
来ました来ました!ココアの甘い香り♪



まず案内されたのは深さ1メートルほどの円筒状になった大きな鍋のようなタンク。
蓋をあけるとチョコレート色の液体が大きな羽で撹拌されています。
その光景と共に漂うココアの甘い美味しそうな香り。
チョコレート好きの人ならこの中にダイブしたくなるんだろうな。。。という幸せの光景です。私はそこまでの甘党ではありませんがチョコレートの香りが持つ特有の幸福感に包まれました♪

ココアの香りに後ろ髪引かれつつ次に向かった隣室で目に飛び込んできたのは巨大な漏斗のような形をした装置。
その漏斗の向こう側には階段が設置されていて、天井の上にある装置の上部まで上ることができるようになっています。



この巨大な装置は工場では「タワー」と呼ばれていて、何と高さ15メートルもあるんだとか。隣にある鍋状のタンク内で美味しく作られたミルクココアは、パイプでタワーのてっぺんに繋がっていて、ココアがてっぺんから落ちる瞬間に熱風をあて、一気に粉状に加工していきます。



下で待ち受けているのはステンレスの桶。
隣の部屋にあった液体があっという間に粉になって落ちてくる様子は、何だか魔法を見ているようです。

この巨大な機械は、ココアのためだけにオリジナルで作られたもの。
1970年台のメーカーの創業当時に作られ、特許もありました。
その特許はとっくに切れているのですが、ココアのためだけに巨額の費用をかけて同じような機械を作ろうとする人はいないようで、いまだに他社には見られない作り方なのだとか。



この後、粉は振るいにかけられて更に細かい粉になった後、円筒状の容器に入れられる。
工程はいたってシンプルなのですが、この巨大なタワーという装置が持つ意味は大きく、これぞドイツの技術が生んだ美味しさなのです。

実はこの装置はメーカーの中でもプレミアムクラスのココアにしか使わないのだとか。
展示会で聞いた高級店のココアと自社ブランドのこのタイプだけが、この機械で作られます。
ここでは他にもノーマルクラスのココアもOEMでたくさん作っていますが、グレードの違いは味だけでなく、粉の色を見れば一目瞭然です。そしてその違いは作り方にあるのです。


(左:弊社取り扱いのココア、右:ノーマルクラスのココア)

ノーマルクラスのココアは、日本でも良く目にするお湯で溶かすだけのタイプのココアで、薄茶色をしています。これはカカオの粒、お砂糖の粒、粉ミルクの粒を混ぜ合わせているからです。そしてそれらの粒を均一に混ぜてさらさらした状態にするために添加物を使って作られます。

対してプレミアムクラスのこのココア。
シンプルな原材料で混ぜ合わせて美味しい理想的なココアを作ってから特別な機械で粉状にするので同じココアでも全く違います。

ではなぜ、1970年台にこのような機械を作ったのか?

ヨーロッパの人たちにとってココアは毎日の生活に根付いた飲み物です。特にひんやりする朝晩に飲むココアは格別です。寒い外から帰ってきた冬の午後、お母さんが温かいココアを作って待っていてくれた、なんてエピソードは誰しも思い浮かべることができるような、そんな存在です。

でもいざココアを作るとなると、ココアとお砂糖をお湯で練ってミルクを少しずつ足しながらのばして。。。と結構大変です。
ヨーロッパでもお母さんたちが外で働いて忙しくなってきた1970年台。家で飲んでいたココアは専らカフェなどで飲むという人も増えてきました。そこでメーカーの創業者夫妻は考えました。


(創業者夫妻)

美味しいココアを簡単に均一にできるようになればいろんな人が助かるのではないか?! ドイツには技術がある!
そこでココアで人助けを!という情熱の元に巨額の資金を投入してこの特別な装置を作るに至ったのです。

こういうストーリーを聞いて、だからドイツだったのか。
と、翌朝帰国の途上で感慨深く思い出しながらハンブルグを後にしたのでした。


(ハンブルグ空港へ向かう電車内)

(ハンブルグ空港)

皆さまも美味しいココアでホッと一息つきませんか?

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