人付き合いのあいまいさをもフォローしてくれる万能な食習慣 イタリアの「アペリティーボ」とは?|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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人付き合いのあいまいさをもフォローしてくれる万能な食習慣 イタリアの「アペリティーボ」とは?|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2024/08/30 09:00

みなさんは「アペリティフ」(イタリア語でアペリティーボ)と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか?
日本語では「食前酒」と訳しますが、ただ単なる飲み物ではなく、実はいろいろな文化的な要素が詰まった生活習慣の一つです。 今日はイタリアの「アペリティーボ」についてご紹介したいと思います。



【アペリティーボの歴史と習慣】

アペリティーボの時間は仕事が終わって夕食を食べるまでの間、つまり18時前後から21時ごろまでのことをさします。BAR(カフェ)のカウンターの立ち飲みやテラス席で、軽く一杯飲んでから帰宅します。
もちろん家でアペリティーボを楽しむ人もいます。どちらにせよ目的は同僚や友人たちとおしゃべりをしながら1日の労働の終わりにリラックスすること。ルールはなくインフォーマルで、自由に時間設定でき、レストランでの食事のようにお財布に負担がかからないのもいいところです。
イタリアでこの食習慣が始まったのはもう200年以上前のこと。もともとは北イタリア・ピエモンテのトリノが発祥地と言われています。当時、蒸留酒を作っていた職人がヴェルモットという白ワインに多種類のハーブやスパイス、砂糖が入ったリキュールを発明、そのおいしさに加え、これを食事前に飲むことによって食欲が増進されるということで評判になり、ヴェルモットブームがトリノから広がりました。
このヴェルモットをジンで割ったものが、「ネグローニ」と呼ばれるアペリティーボに飲まれるカクテルです。また「アペロール」というオレンジの甘さとハーブのほろ苦みのあるリキュールをイタリアの発泡酒スプマンテで割ったものもあります。
カクテル以外にも、グラスワイン派もいます。プロセッコやフランチャコルタなど、フレッシュでライトなタイプが好まれます。最近はロゼワインも人気です。

アペリティーボの主役はあくまでおしゃべりなので、おつまみには会話を楽しめるようなエッセンスが詰まっています。アペリティーボのおつまみのことを「ストゥッツィキーニ」と呼び、野菜スティックやオリーブの実の塩漬けなどが主流です。片手で食べられるものが多いのは、グラス片手におしゃべりしながらつまむため。テラスやカウンターだとグラスを持ったままあちこちに移動することもあります。
また、その後ディナーに行く人もいるので、軽くて消化のいいものが好まれます。ハムやサラミ、チーズなど、冷製のものがポピュラーです。



【コミュニケーションツールとしての役割】

わたしはイタリア暮らし27年の間に何百回(何千回?!)というアペリティーボをする中で、リラックスする目的だけではなく、これほどに人付き合いのツールとして便利な習慣はないと実感するようになりました。
例えばアペリティーボは仕事上のミーティングでも使われます。イタリアではオフィス外でもよく打ち合わせが行われますが、「カフェでコーヒーでも飲みながら」となれば、‘短時間のあまり重要ではない内容’というメッセージ性があり、「食事の席で」ということになれば、重要事項の交渉が予想されます。
ところが「アペリティーボで」となればその中間で、どちらのパターンもありえるという心構えになります。
そして、実はデートのお誘いにも便利なのがこのアペリティーボなのです。お茶するだけだとつまらないけれど、食事に誘うにはちょっと早いかな。。。というようなあいまいなシチュエーション。みなさんもありませんか?そういう時、まさにアペリティーボは救世主。30分で終えることも3時間楽しむことも自由自在。 食事の席で30分後に立ち去ることはできませんが、アペリティーボなら一杯飲み終えたところで「さようなら」ということもできるため、とりあえず初対面はアペリティーボなのです。
アペリティーボがこれだけ根付いているのは、リラックスするという目的だけではなくコミュニケーションツールとしてイタリア人にとって欠かせないものになっているからなのですね。



【「アペリティーボ」から進化した「アペリチェーナ」】

一般的なアペリティーボではポテトチップスやオリーブの実などがドリンクに付いて出されるのですが、近年「アペリチェーナ」という新しいスタイルも出現しています。
語源通り、アペリティーボとディナー(チェーナ)の中間です。アペリティーボにビュッフェスタイルでたくさんのおつまみを出し、ディナーをしたくらいお腹がいっぱいになるお店が増えています。アペリティーボの料金で夕食に値する「アペリチェーナ」というわけです。これだと帰宅しても夕食を用意する手間も省け、おひとり様にも大好評。ハムやサラミ以外にも、例えばブルスケッタやパスタのサラダ、ローストビーフなどの肉料理を出すところもあります。 その他、意外なアペリチェーナの人気料理に片手で食べられる巻き寿司があります。

どんなおつまみにせよイタリア人はみんなアペリティーボが大好き。癒しを求める人いれば、出会いを求める人あり。
みなさんもおいしいワインとストゥッツィキーニを用意して、週末にでもどうでしょう?
新しい発見や出会いがあるかも?!



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。イタリア外国人ジャーナリスト協会会員。




ダイニングプラスの食品

ここからは、ダイニングプラスで取り扱っている生ハムをご紹介します。

ハモンセラーノ

スペイン産、世界3大生ハムの一つ。スペイン中部、セゴヴィアで作られた生ハムを原木として使用。少し硬めで、ダイレクトな肉の味わいが特徴。

フランス伝統生ハム IGP ジャンボン ド バイヨンヌ

珍しいフランス産の12ヶ月以上熟成の生ハム。バランスの取れたマイルドな味わいが特徴。




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2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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