フランスの春を告げる卵|上野万梨子さんのフランスレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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フランスの春を告げる卵|上野万梨子さんのフランスレポート

2021/03/15 10:00
使用しているフォントの影響で、一部フランス語の正しい表記ができない単語があります。ご了承くださいませ。



鳥の雛が殻を割って誕生する姿から復活のシンボルと考えられるのが卵です。毎年春分の日を過ぎて初めての満月の日の、そのまた次の日曜日と決まっている復活祭が近づくと(2021年は4月4日の日曜日)卵型のショコラや鳥の巣に卵のデザインのお菓子がウィンドーに並びはじめます。そんなことからフランスで卵といえば、イースターに向かって春の訪れを象徴するものなのです。


春の訪れが近いことを告げる満開のミモザと、パリ7区、グルネル通りのお惣菜屋さん、Lastre の「グリーンアスパラガスのミモザ」

とはいえ、鶏卵 Oeuf de pouleは一年中のものですが、季節の訪れを感じさせてくれるのが鵞鳥の卵 Oeuf d’oie です。花屋の店先にフサフサに開花したミモザが並ぶ頃、冬から春に移り変わる限られた期間のみ朝市に並びます。



気候変動からでしょうか、ひと昔前に比べて、近年はお目見えの時期が早まりつつあるようです。写真は家の近く、グルネルの朝市のスタンド。鶏卵の三倍ほどの大きさで、一個ずつ縦にして新聞紙でくるみ、包み終わりの紙の先端を指でひねっただけで手渡してくれるのですが、両手がすでに荷物でいっぱいでは持ち帰るのも危なっかしいものなのです。
食べ方を尋ねれば誰もが同じ答え。「鶏の卵と同じよ。目玉焼き、ゆで卵、オムレツ、お菓子、なんでも、普通の卵と同じように」。

ということで、まずは目玉焼きと考えましたが、この大きな卵を最初に割った時にはちょっと勇気がいったものです。鵞鳥の卵とわかってはいても、何か得体の知れないものが出てきたらどうしよう、、、と。
さて結果は、鶏卵の方がはるかに美味しい。ネタッと舌に張り付くような黄身のテクスチャーも香りもちょっと苦手です。ということで、私にとって鵞鳥の卵は春を告げてくれる風物詩のようなもの。食べたいとは思わないけれど、季節のめぐりを感じて気持ちを浮き立たせてくれるものなのです。



フランスの鶏卵は雌鶏の生きる環境に応じて4段階に分けて流通されます。殻に“0FR”(ゼロFR)とスタンプされていたら、それはBIOの卵である証です。屋内外を自由に行き来し、国のBIO認定を受けた草や餌を食べて育った鶏の卵。屋内でぎゅうぎゅう詰めの、それこそ密な環境ではなく、「戸外で羽をバサバサと広げてホコリをはらうことができ、ストレスなく眠りにつけて、自分の巣で卵を産むことができる」鶏が産んだ卵、それがゼロFRなのです。そして1FR、2FR、3FRと、環境や餌、鶏同士の密度に応じて、卵の質レベルは明確に示されているのは素晴らしいことです。

日本の鶏卵は、いつの頃からか、黄身が濃い色をしているほど栄養価が高く美味しいと誤解されてきたようです。そのため餌にパプリカなどを混ぜ、黄身の色が濃くなるように調整した卵が多いようです。



ナチュラルな餌を食べて育った鶏が産んだ卵の黄身は、透明感のある薄い黄色をしているものです。加熱した後では卵の鮮度や黄身の色がわからなくなりますから、上の写真は蒸す前の状態。健康な卵の美しさがよくわかることでしょう。

こんな簡単な卵料理も、家庭ではメイン料理前の一品になります。
焼き皿にバターを薄く塗り、薄切りハムをのせ、生クリームを適量、塩少々、そこに卵を割り落とします。オーブンで湯せん焼きでは時間がかかりますが、フライパンの底1センチ弱に湯を沸かしたところに器を置いて、蓋をかけて蒸せば、ほんの数分で出来上がります。このような平皿ですと調理時間は短くすみますが、プリン型やココットでも。

ところで、後ろに見えるグリーンの箱に入っている卵は、普通のBIO卵の倍以上の価格です。その理由は、卵を産まなくなった雌鳥を殺処分せずに、自然に死ぬまで農家で見届けることをしているためなのです。これは大衆的なスーパーの棚にも並び、価格が高い理由に納得し、志高い生産者を応援する気持ちで購入する人が少なくないことがわかります。
こういう卵なら、割りほぐしてオムレツを作る前に、まずは茹で卵で味わいたいものです。とろりと半熟の黄身に、小さなスプーンの先にほんの少々のメープルシロップをとってたらし、塩をふって。

パリに暮らして嬉しいのは 「普通のものが当たり前に美味しい」ということ。普通のものとは高級だったり珍しい食材ではない、毎日の料理に使うもののことで、卵もその一つです。コロナが落ち着いてフランスに旅する時が来たら、ホテルやカフェの朝食で半熟卵を注文してみましょう。焼きたてにバゲットをちぎって、それで柔らかな黄身をツンツンして!




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