「オリーブオイルに始まり、オリーブオイルに終わる」 イタリア食文化の真髄オリーブオイル|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

新着記事

「オリーブオイルに始まり、オリーブオイルに終わる」 イタリア食文化の真髄オリーブオイル|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2023/07/31 12:00

もし、イタリアにオリーブオイルが存在しなかったら…
イタリア料理、地中海料理も存在しなかったことでしょう。イタリアの食文化の中核でもあるエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、イタリアが誇るもっとも優れた農産物のひとつ。地中海食の象徴的な食材であり、どんな料理の味をもおいしく変えることができます。
栄養価の高さにおいても際立っており、イタリア人のオリーブオイルに対する誇りと情熱を知ると、食品と呼ぶにはあまりにも奥深い産物であることがわかります。

オリーブオイル

日本でもスーパーマーケットから専門店まで、あらゆるオリーブオイルが並ぶようになりました。中でもイタリア産は特に人気がありますが、他国のものに比べどのような特徴があるのでしょうか。
それは一言で言うとバリエーションの多さ、多様性にあります。世界でもっとも多くオリーブオイルを生産しているのはスペインですが、数種類しかオリーブの品種が存在しません。一方、イタリアはなんと500種類以上の品種があるのです。これは世界にあるオリーブの品種の42%に相当します。
ワインの原料になるブドウは地方ごとの在来種があり、そのおかげで多様なタイプのワインが誕生するように、オリーブオイルも各地で異なる品種が栽培されています。その違いを味わうために、イタリアのキッチンには、みんな必ず数種類のオリーブオイルを揃えています。産地別やライト、ミディアム、ストロングなど味わい別など。もちろん調理用と生食用は使い分けますし、生食用でも力強い味わいのオイルは肉料理の時に、フルーティーなタイプのものはサラダや前菜になど、その料理や個人の好みによって合わせるオイルを自由に組み合わせ、日々の食事を楽しんでいるのです。



【イタリアのオリーブオイルの歴史】

オリーブの木と実

今日、これほど重要な役割を果たしているオリーブオイル、イタリアにはどのようにしてもたらされたのでしょうか?
オリーブの木がイタリアに初めて姿を現したのは3500年も前といわれています。 紀元前7世紀ごろには、フェニキアやカルタゴの商人やギリシャ人の入植者の働きによって、より広く普及し始めました。

モンテ・テスタッチョ

私が住むローマのテスタッチョ地区には、当時の商業の繁栄が一目でわかる「モンテ・テスタッチョ(テスタッチョの山)」があります。 これは、がれきが積み上げて作られた人工的な丘でその大きさは高さ54メートル、長さが1キロもあります。 ギリシャからオリーブオイルや塩、麦などが輸入されていた時代、その運搬には‘アンフォラ’と呼ばれるレンガ質の壺が使われていました。海からテベレ川を通り、輸入港であったテスタッチョに到着すると、運搬容器であったアンフォラは割られ破棄されていました。 その破片が積み上げられたのがモンテ・テスタッチョなのです。 現在では、この丘の内部が掘られその中にトラットリアやディスコができ、ユニークな建築物になっています。 テスタッチョ地区の広場には、この壺をモチーフにした大きな噴水が飾られています。

テスタッチョ
(左:テスタッチョ、がれきの山/右:テスタッチョ広場)

オリーブオイルは食用だけでなく、化粧品、宗教儀式、薬、照明など、油はさまざまな用途に使われていました。その重要性が増すにつれイタリア人は、ギリシャやフェニキアの商人からオリーブの栽培や実からオイルを抽出する技術を学び始めました。こうしてイタリアに無数のオリーブ畑ができ、オイルが生産されるようになったのです。
私はテスタッチョ広場の噴水の前を通るたびに、この国でオリーブオイルがいかに長い年月、人々の生活資源になっていたかを思い知らされるような気がします。



【イタリアのオリーブ産地】

オリーブ畑

オリーブの栽培は海抜100メートルから500メートルの間の乾燥した土地が適しています。イタリアで最も生産量が多いのは南イタリアプーリア州。全国の約3分の1もの生産量を誇っています。プーリアのオリーブ畑の光景を言い表すには、畑というよりも‘海’という言葉が適しているかもしれません。見渡す限りどこまでもオリーブばかり。車で何キロ走っても延々と広大なオリーブ畑が続きます。今にも歩き出しそうな、うねり曲がった幹を持つ巨大なオリーブの木々が生息しており、何百年という長い寿命を持つ大木が多いのもこの地方の特徴です。地元の人たちは神々しいこのオリーブの木々を守り神のように大切に守っています。いまだに自家用のオリーブオイルを作っている家庭もかなり多く「オリーブオイルは買うものではなく、自分たちで作るもの」という習慣が残っています。
もう少し北上したラッツィオ州やアブルッツォ州、トスカーナ州、ウンブリア州と、中部イタリアでも素晴らしい品質のオリーブオイルがとれます。小規模生産者が多く、個性的な品種もあり、ミクロ単位の地方らしさが風味に表現されています。また北イタリアのリグーリア州のように、標高800メートルを超える山にも生育する特殊な地域もあります。



【収穫】

オリーブの収穫

オリーブの収穫後すぐに、オリーブの実から貴重なエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルを搾油する作業が行われます。これは通常11月末から12月末にかけて行われますがオリーブの種類や季節の気候によって期間は異なります。オリ―ブが生産される地域には必ず「フラントイオ」と呼ばれる搾油所が地区ごとにあります。自分のオリーブ畑で採れたオリーブの実を搾油所にもっていき、そこでオリーブオイルにするのですが、毎年その初日にはみんなでテーブルを囲んで搾ったばかりのオイルを暖炉や焚火で焼いたパンにつけて試食します。1年かけて育てたオリーブからできる一番搾りを味わう、まさに感動の瞬間だそう。



【数多くある油の中でももっとも健康によいオリーブオイル】

オリーブオイル

イタリアのエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、オリーブの実を圧搾するだけで、化学合成物質を一切使用せず、高度な方法によってのみ加工されたものを意味します。正真正銘の天然オイルであり、もう一つの基本条件である酸度も0.8%以下でなければなりません。
植物油は種子からとれる油がほとんどですが、オリーブオイルは果実から搾り取られる珍しいオイルです。
そして私たちの健康にもよい働きをしてくれる栄養素が含まれています。抗酸化作用と炎症を抑える効果がある油、この2つの要素を同時に持つ食品はオリーブオイルしかありません。疾病や老化を防ぐ抗酸化作用のあるビタミンB、また血液を良好な状態に保ち糖尿病予防につながるオレイン酸のおかげで、オリーブオイルは健康食品としても愛用されているのです。
さらには一切添加物が使用されていない食品、それがエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルです。
裏ラベルを見るとわかりますが原材料はオリーブの実100%(※)です。これはイタリアの規制により厳しく守られています。
(※一括表示の原材料欄は、食用オリーブ油です。)



【オリーブオイルの楽しみかた】

パスタの仕上げにオリーブオイル

気候変動の被害による不作やエネルギーコストの値上がりで、イタリアでもエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは高級食材になりつつあります。それでも消費量が生産量を上回っているのは、どんな食材をも引き立たせるおいしさがあり、私たちの身体によい効果を与えてくれる健康食品であること、さらには安全な食材であることなどの理由があげられます。
イタリアではパスタ料理には必ずお皿に盛りつけられた後、仕上げに上からオリーブオイルをたらします。調理に使ったものとはまた違う、品質の高いエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルが好まれます。1つのパスタ料理に2種類のオリーブオイルが使われるというわけです。

シーフードにオリーブオイル

茹でたりグリルしたりした野菜や魚にエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルと塩をかけるだけで、それはおいしいごちそうになります。もっと言うと、新油が出る時期などはおいしいオリーブオイルを味わうためにナスやズッキーニ、玉ねぎなどいろいろな野菜をグリルにし、たっぷりと新油をかけてそのフレッシュな風味を楽しむこともあります。主役はオリーブオイルという食べ方も贅沢ではありますが楽しいものです。また野菜が格別においしいイタリアでは、野菜の‘オイル煮‘も毎日のように頻繁に作る一品です。菜っぱなどの菜野菜やナス、獅子唐辛子、どんな野菜でもできるのですが、たっぷりのオリーブオイルとニンニク、塩だけでじっくりオイルで煮込むように中火で炒めます。水は一切加えません。塩を加えることにより野菜から水分が出ます。野菜の凝縮したうまみがしっかり味わえて本当においしいのです。トラットリアでも定番料理です。

豆腐にオリーブオイル

最近では和食に合わせる人も多くなりました。私が一番好きな冷ややっこの食べ方、それは極上のオリーブオイルと醤油をかけていただくというものです。豆腐の味わいにコクや野菜やハーブのフレッシュさが加わります。またおぼろ豆腐にわさびと塩、オリーブオイルをたらしていただくのも大好きです。やわらかい豆腐に黄金のオイルが混ざり、とろりとなったものを口に入れた時の至福。いくらでも食べ続けたい衝動にかられるほどです。地中海料理のイメージが強いオリーブオイルですが、本当においしい食材には国境がないですね。
みなさんもぜひおいしいオリーブオイルをいくつか常備して、いろいろな食べ方を発見してみてくださいね。



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。




ダイニングプラスのオリーブオイル

ここからは、ダイニングプラスがおすすめするオリーブオイルをご紹介します。
リピーター続出、大人気のイタリア、オリタリア社製です。

ベルデンソ 無ろ過 エキストラバージン オリーブオイル 500ml

オリーブの実をまるごと生搾りしたいわば「100%果汁」をボトル詰めした「無ろ過エキストラバージンオリーブオイル」。ろ過していないので、風味も栄養もオリーブの実そのまま。イタリア オリタリア社とダイニングプラスが共同開発した、和洋中どんなお料理にもあう無ろ過オリーブオイルです。




<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

>食品通販「ダイニングプラス」はこちらから

閉じる
新規会員登録キャンペーン ¥1,000割引クーポン