フランスのバターその2|上野万梨子さんのフランスレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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フランスのバターその2|上野万梨子さんのフランスレポート

2020/11/27 11:00

その他のバター



■ 味付けバター


Bordier のバターに代表される近年の流行。海藻やスパイス、柑橘の果汁、アンチョビ、トリュフなどを加えたもの。調理用からアペロのたのしみまで。


■ タルチネ用バター


パンにぬりやすいように、冷蔵状態でも普通のバターほどは固くならないように作られている。乳脂肪は硬質、軟質、そして液状、以上3種の脂質で成り立っているが、これを特殊な処理で三つに分離し、硬質と液状の脂肪のみを合わせて混ぜると、冷蔵庫に入れても一般のバターのようには固くならないものになるのだそう。マーガリンのようなケースに入って販売されているため、一見植物性オイルなどの混ぜ物があるように思えるが、100%ナチュラルな自然食品。


■ 低脂肪バター


一般のバターの乳脂肪が80~82%であるのに対して、これは41%~62%
脂肪分41%以下のものはバターとはいわない。


パッケージの表示




コンピュータ管理された大工場では、生乳を通称カノン(大砲)と呼ばれるラインに注入してからバターが出来上がるまでに1時間たらず。それに対して、昔ながらの製法に則ったチャーン方式の機械で、クレームをバター粒とバターミルクに分離させて造ったものであることを示すための表示。




昔の農家産のように、バターを木型にはめて(ムーレ)仕上げたもの。あるいは、そのようにバターの側面にカヌレ模様を入れて手作り風にデザインされたバター。



AOC原産地管理呼称統制の起源は15世紀のフランス。その後ヨーロッパ各国がフランスのこの制度を参考に、各国それぞれに基準を定めてきたが、1999年のEU統合を機に欧州各国共通基準の法を制定することとなり、フランスのAOCとは区別させる必要から、AOP原産地名称保護制度 が生まれた。したがってAOCはフランス主体、AOPはEU主体。


■ フランスバターAOPは3地域
西の海側のバター
1)Le Poitou et la Charente ポワトゥー シャラント

2)La Normandie le beurre d’Isigny ノルマンディー イジィニ



東の山側のバター
3)La Bresse (無塩のみ)ブレス
*AOP基準では、その製品に使用される素材のすべては認定地域内で産するものでなくてはならない。ブレスでは海塩も岩塩も採れないため、有塩バターには隣りの県の岩塩を使っている。したがってブレス産バターのAOPは無塩バターに限る。



フランス産のバターを理解するには、パッケージに書かれているこれだけの言葉の意味を知らなくてはならないので一見複雑に思えますが、といって原料や製造方法が特別なものでもなんでもないのがバターです。
原料は牛の乳と、有塩バターの場合は塩。それ以外に添加を認められているのはクレームに風味と個性を与えるフェルマン・ラクチック(乳酸菌)のみ*。
これだけシンプルな食材でありながら、これだけ厳しい品質基準で価値が守られているとは、バターがフランス人にとっていかに重要な食材であるかの証というものでしょう。
(*原料のミルクは、季節による牛の餌の違いで色が変わります。そこでバターの色を年間通じて安定させるために、天然由来のカロチン系着色剤の使用も認められていますが、どのバターにも使われているわけではありません)

COVID-19 によるロックダウンで、平時のようには食材が手に入らなくなった時、「でもパンとバターがちゃんとあるからな」 とは誰もが思ったことだったのではないでしょうか。 最後の晩餐に食べたいものは何?と尋ねられたとき、私は迷うことなく答えたものでした。「美味しいパンとバター」。



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