日仏牛肉文化の違いがよくわかるステーク・アッシェ|上野万梨子さんのフランスレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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日仏牛肉文化の違いがよくわかるステーク・アッシェ|上野万梨子さんのフランスレポート

2022/07/22 09:30
お暑い日が続きますね。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
猛暑の中、私はこの秋出版予定の新刊の仕事で東京に滞在中です。日本で手に入る一般的な素材で作れるフランス家庭料理の本で、使用する肉は牛・豚・鶏のみ。入手し難い洋野菜も極力使わずに作れることが原則だったので、そうであれば東京での撮影に必要な材料調達は難しくないはずとタカを括っていたのですが、それがそれが、、、、、。

野菜にも苦労しましたが、フランスの素材との違いで最も悩ましかったのは牛肉でした。 まずポトフのような長時間の煮込みに向く部位を売っていない。そして焼き肉やすき焼き文化の日本で流通しているのは、脂がさした霜降り肉ばかり。ステーキ肉としてフランスで最も愛されるバヴェット、つまりハラミは、スライスされた焼き肉用は手に入ってもステーキに使えるものは売っていません。それに日本でハラミは内臓の一種扱いで、ほとんどの肉屋さんでは販売していないのですね。輸入肉を扱うスーパーで見かけたものは大きなブロック販売で、これでは読者は購入できません。


にんにくのすりおろし、塩、オリーブオイルで下味付けしたバヴェットをミディアムレアに焼いて。
見た目よりずっと柔らかい肉質でとても味わい深いものです。

そこで、これなら日本の家庭でも作りやすいのではと思うのが、フランス風挽肉ステーキ、ステーク・アッシェです。アッシェとは“挽いた” の意味で、またの呼び名はビフテック・アッシェ。フランスの肉屋さんでは既に挽いた生肉を店頭に並べることがなく、客の注文に応じてその場でミンサーを通して挽くのが決まり。肉の挽き加減は客の好みで注文をつけることもできます。挽いた肉はステーク・アッシェ用の器具ではさんで楕円形にして渡されます。つまり形は日本のハンバーグステーキのようですが、玉葱やつなぎのパン、卵、それに塩も入っていない、まさに肉を細かくしてステーキの形にした肉なのです。 ステーキ用のリブロース(アントルコート※1)やランプ(ロムステック※2)を買うよりはるかに安く、挽いてあるので食べやすいことから、広くフランスの家庭で愛されているものです。


牛肉100%で挽きたてのフレッシュですから、焼き具合はレアからミディアムまで好みで。カフェのステーク・アッシェ風に半熟の目玉焼きをのせて、やわらかい黄身をソースのように挽肉に絡めて食べるのは美味しいものです。日本の店頭に並ぶ挽肉は脂も多く、挽いてから時間が経過しているので、もも肉などを塊で買って包丁で粗くたたく一手間がかかりますが、是非お試しいただきたいフランス風挽肉のステーキです。



ダイニングプラスではフランスの赤身牛肉100%のステーク・アッシェを扱っています。今回の滞在中、日本の牛肉をあれこれ経験した後にこちらを味わう機会があったのですが、挽肉ながらもフランス赤身牛肉の醍醐味が感じられたものです。つなぎが入った柔らかいハンバーグステーキに慣れている日本人には一瞬硬めに感じられるかもしれませんが、その味わい深さでフランス牛肉のおいしさを感じていただけるのではないでしょうか。

暑い夏にはサマー・ビフテック・アッシェがおすすめです。炒め玉ねぎをのせて、胡椒をカリカリひいて、オリーブオイルをまわしかけるだけ(左上写真)。レシピページをどうぞご覧ください。

>「ステーク・アッシェ」レシピページはこちらから




ところでマクドナルドが日常食になって久しいフランスでは、ハンバーガー用に調整された牛肉のパテを販売する肉屋さんもチラホラ。気が利いた店ではパン屋さんとコラボしてバンズ(丸パン)も取り扱っています。写真でご覧のような有名店であれば肉の質は間違えなく、一般的な肉屋さんのステーク・アッシェより肉のひき加減が粗いところが気に入っています。



それは70年代半ばの留学時代のことですが、混ぜものでやわらかな日本のハンバーグステーキしか知らなかった私は、パリのカフェで挽肉ステーキを注文して「焼き加減は?」と問われて驚いたものです。肉100%とは思いもしなかったのですから。肉しか使っていないからミディアムだってよいとは知りもせず、「ビアン・キュイ(ウェルダン)で」と答えてしまったのです。運ばれてきた挽肉ステーキのなんと硬かったことか。懐かしい思い出です。 初めての著書ではそのエピソードを書き、ア・ポワン(ミディアム)のハンバーグステーキのレシピも紹介しています。



「シンプルフランス料理」(1980年 文化出版局刊)
挽いた赤身牛肉に、玉ねぎとにんにくのすりおろし少々と塩だけを加え、 ミディアムに焼き上げたハンバーグステーキ。


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2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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