何世紀にも渡り人々を魅了するイタリア最高級調味料バルサミコ酢|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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何世紀にも渡り人々を魅了するイタリア最高級調味料バルサミコ酢|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2023/05/26 10:00

イタリアの中部に位置する中世の街、モデナにやってきました。
ここは世界に知られるイタリアの高級食材「バルサミコ酢」の名産地。モデナの街中から、目的のお店のある郊外へ。

(左上写真:トラットリア入り口)

看板もホームページもフェイスブックもない、まさに地元の人しか知らない小さなトラットリアに到着。まずは前菜にパルミジャーノ・レジャーノチーズや生ハムの盛り合わせを注文。すると「好きなだけかけて食べてください。」とそっとテーブルに置かれる黒い液体が入った小瓶。なんとこれは50年以上熟成しているというバルサミコ酢!少し舐めてみると、とろりとした食感で甘草を思い起こす味わいが口いっぱいに広がります。‘酸っぱい’というアタックではなく、まろやかで深い甘み。このトラットリアではチーズ、パスタにドルチェまで、なんにでもこのバルサミコをかけるのです。パルミッジャーノチーズのようなそれ自体が味の濃い食材はまろやかになり、かぼちゃのトルテッリパスタのような料理はアクセントが出て、バルサミコ酢を加えることによってどんな食材もコクが倍増。これは他のお酢にはないマジック。お酢というよりも珍味。この地方のレストランには自家製の熟成樽があり、こうして自分たちのバルサミコ酢をサーブしてくれるのです。これはイタリアでもバルサミコ酢の名産地であるモデナやレッジョ・エミリア周辺の小さな地域にしかない貴重な風習。
ではこの特殊な気候と歴史から誕生したバルサミコ酢、一体どのようなところでどうやって作られているのでしょうか?!



【バルサミコ酢の産地】

モデナバルサミコ酢の生産地は、中部イタリアエミリア・ロマーニャ州のモデナ県とレッジョ・エミリア県の平野地に位置します。ここは中世にエステンセ公国(エステ家の侯爵領)のあった地域で、その当時から食の宝庫として知られていました。このような世界でも稀に見る特殊な食品を生み出すことができたのは、まさにこの地方の農民たちの古くからの知識や美食に対するとてつもないこだわりからと言われています。
この地方は典型的な半大陸性気候の土地。夏は暑く湿度が高く35℃を超え、冬は寒く平均気温は2℃前後。秋冬でも湿度が高いため霧まで発生します。これらの特殊な気候条件がバルサミコ酢の熟成過程に決定的な影響を与え、自生する酢酸菌の発育を促します。ほかの地方ではまねのできない製造工程はこのようなミクロクリマと呼ばれる独特の気候条件のおかげなのです。



【バルサミコ酢の種類】

イタリアでも食材店やスーパーに行くと多種類のバルサミコ酢やビネガーが売っています。イタリア人でもパッとみてその種類の分別ができる人はなかなかいないのではないでしょうか。実際それほどややこしいバリエーションがありますが、下記のものが「本物」とされる代表的なバルサミコ酢となります。

(写真は、ボッティチェッレ樽)

【原産地管理呼称法DOP認証がついているもの】
バルサミコ・ディ・モデナ・トラディツィオナーレ*D.O.P.

●生産地)モデナとレッジョ・エミリア
●原材料)在来品種5種類のブドウのみ
●熟成期間)最低12年
●製造方法)収穫したブドウ果汁を煮詰め、その後「ボッティチェッレ」と呼ばれる小さな木樽に入れ熟成が開始されます。1年ごとに木の種類が異なる樽に入れ替えられ樫や栗、桜や桑の木が使われます。長い熟成の間にゆっくりゆっくりと水分が蒸発し、12年後には100分の1ほどの量に凝縮されます。
(*トラディツィオナーレとは「伝統的な」という意味。)

バルサミコ・ディ・モデナ・トラディツィオナーレ・ストラヴェッキオD.O.P.
上記と同じ生産地と原材料で、25年以上熟成したもの。これがすべてのバルサミコ酢の中で最高品質と言われています。もちろんお値段もトップクラスで100mlの小瓶で数万円はします。
またおもしろいことに容器まで限定されており、すべてのメーカーが同じ形のボトルを使っています。これがとてもエレガントで素敵な形なのですが、知る人ぞ知る、ボトルのデザインをしたのはイタリアを代表するカーデザイナーのジョルジェット・ジュージアロー。彼は日産の車やニコンのカメラのデザインも手掛けた芸術家で、1987年にモデナの商工会議所が彼に最高のバルサミコのボトルを作りたいということで実現したものなのです。

ちなみにバルサミコ・ディ・モデナ・トラディツィオナーレD.O.P.はエミリア・ロマーニャ州によりユネスコ世界遺産登録に立候補しています。

【保護指定地域表示IGP認証がついているもの】
バルサミコ・ディ・モデナIGP

●生産地)モデナとレッジョ・エミリア
●原材料)部分的に発酵、調理、濃縮された在来品種のブドウの果汁に少なくとも10%のワインビネガーと、少なくとも10年以上前のビネガーを加えることも可能。
●熟成期間)最低60日
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 (ダイニングプラスの商品だとこちらになります。)
 【モデナ産 バルサミコ酢 IGP 5グレープ】
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バルサミコ・ディ・モデナ・インヴェッキアート*IGP
●生産地)モデナとレッジョ・エミリア
●原材料)部分的に発酵、調理、濃縮された在来品種のブドウの果汁に少なくとも10%のワインビネガーと、少なくとも10年以上前のビネガーを加えることも可能。(*インヴェッキアートとは「Aged長期熟成させた」という意味。)
●熟成期間)最低3年
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 (ダイニングプラスの商品だとこちらになります。)
 【モデナ産 バルサミコ酢 IGPエイジド 5グレープグレード】(エイジド=インヴェッキアート)
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「IGP」も「DOP」も最高品質を証明する認証であり、すべての工程をイタリアの農食林省から厳重にチェックされ商品化されています。
スーパーに売っているこれら以外のバルサミコ酢は、ブドウ果汁にワインビネガーやハーブ、カラメルやコーンスターチ、添加物などが入ったものがあります。家庭では何万円もするバルサミコ酢ではなくこういったタイプのものがよく消費されていますが、決してそれがダメというわけではなく、使い分けされているということです。



【スイーツに生まれ変わった新時代のバルサミコたち】

中世のエステ侯爵によりバルサミコ酢が高級食品として認識されるようになり、それは長い月日にわたり愛されてきました。そして現代に入りバルサミコ酢は新しい姿で世界中のグルメを唸らせています。
去る1月のミラノのフードイベント「IDENTITA DI GLOSE イデンティタ・ディ・ゴローゼ」ではイタリアを代表する菓子職人ジャンルカ・フスト氏のモダンなチョコレート「ALCHIMIAアルキミア」が発表され業界でも話題になりました。それは、なんとバルサミコ酢を熟成するのに使用した小樽の中でカカオ豆を寝かせ、それをチョコレートにし、 さらにはバルサミコ・ディ・モデナIGPを練りこんだガーナッシュ入りの小さなプラリネチョコレート。今年のバレンタイン特別限定品として発売されました。 もはやバルサミコは調味料として楽しむだけではなく、一流のパティシェにより高級スイーツとしても愛用されているのです。

イタリア現地でもなかなか入手できないプラリネチョコはさておき、日本の家庭でもバルサミコ酢の味わいを楽しめる簡単な一品をご紹介しましょう。
拍子抜けするほど簡単な作り方でおいしいので、私もよくリピートしているレシピです。



【家庭でできるバルサミコ酢をつかった料理】

「牛肉とルーコラのストラチェッティ」
《 材料 3人分 》
・牛肉こま切れ(できるだけ脂身の少ないもの):300g
・ルーコラ:100g
・オリーブオイル:適量
・塩胡椒:適量(お好みでいれなくともよい)
・バルサミコ酢:適量
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(作り方)
【1】熱したフライパンにオリーブオイルを入れ、牛肉を炒める。
【2】塩胡椒で味を整えたら、火を止めてルーコラを入れ混ぜ合わせる。
【3】お皿に盛り付けバルサミコ酢をかけ出来上がり。
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と、ほんとに簡単。これだけです。

米酢でもレモンでも実現できない、‘コク’のある酸味が引き立つ一品です。
ミニトマトを入れたり、最後にパルミジャーノチーズの薄切りを乗せるバージョンもあります。ルーコラも、炒めた牛肉をお皿に盛ってからフレッシュな状態で盛り付けるのもあれば肉と一緒に炒めてもいいでしょう。バルサミコ酢だけで味付けをし、塩を入れない人もいます。チャバッタなどのパンに挟んでパニーノにしてもとてもおいしいです。

バルサミコ酢はイタリアが世界に誇る伝統食材の中でも、現代人にも有効な自然&健康食品でありながら賞味期限も長く、料理やお菓子の味にコクをもたらす万能調味料。
「歴史・健康・おいしさ。」すべてを満たしたイタリアらしい食材バルサミコ酢。
ぜひ日本のみなさまにも楽しんでいただきたいと思います。



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。




ダイニングプラスのモデナ産バルサミコ酢

ここからは、ダイニングプラスがおすすめするバルサミコ酢をご紹介します。
イタリアのシェフからも人気のある「オリタリア社製」最高級グレードの「5グレープ」です。

モデナ産 バルサミコ酢 IGP 5グレープ

ほのかな酸味と、とろりと濃厚でシロップのような果実の甘さが特徴。重すぎず軽すぎず、イタリアの職人によって絶妙なバランスで仕上げられています。

モデナ産 バルサミコ酢 IGPエイジド 5グレープグレード

3年樽熟成ならでは バリック樽香も感じる深い味わい。バニラのニュアンスとしっかりコク、まろやかな酸味はメインはもちろんデザートにも幅広く活用できます。




<ダイニングプラスについて>
2001年創業、商社が直営する輸入食品通販サイト。日本を代表する高級ホテル、ミシュラン星付きレストランが採用する高品質な業務用食品を、どなたでも1パックから購入できます。テレビ各社や「ダンチュウ」、「エル・ジャポン」など、メディア紹介多数。

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