由来は古代ローマ時代のコスプレ?!2月のイタリアの風物詩「カーニバル」|ヒサタニミカさんのイタリアレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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由来は古代ローマ時代のコスプレ?!2月のイタリアの風物詩「カーニバル」|ヒサタニミカさんのイタリアレポート

2023/01/20 09:00

みなさんはイタリアのカーニバルというと何を思い出すでしょうか。イタリアだとヴェネツィアのカーニバルがブラジルのリオやトリニダード・ドバゴと並び世界3大カーニバルの一つになっているので特に有名ですが、実際には全国で行われるお祭りです。トスカーナ州のヴィアレッジョやシチリア州東部アチレアーレでは、動くオブジェが盛られた巨大な山車が何台も続く派手なパレードが行われます。パレードが行われない町でも、カーニバルの時期には子供たちが好き好きに仮装し広場に繰り出し、大人も子供もカーニバル菓子を食べるという習慣があります。
さて、市民が仮装し町中でパレードが行われるこの盛大な冬のお祭り、その起源はどこからきたのでしょうか。



【カーニバルの意味とその期間】

カーニバルは日本語では謝肉祭と訳されるため、何か肉に感謝するような意味合いにとれるのですが、実は全く違う背景があります。
イタリア語ではカーニバルのことを‘カルネヴァーレ CARNEVALE‘といいます。これはラテン語のCARNEM LEVARE という言葉からきています。CARNEは肉、LEVAREは取り除くという意味。つまり肉を食べないという語意なのです。
カーニバルの日程はイエスキリストの誕生を祝うイースター(復活祭)から遡って決定されます。イースターの前日から40日間はその準備期間とされ、この期間のことを四句節(クアレージマ)と呼びます。四句節にはキリスト教、主にカトリック教会の習慣として断食や生活の節制が行われていました。この苦しい期間に入る前に思う存分食べて踊って楽しんでおこう!というのがカーニバルなのです。



【カーニバルの由来】

現代のカーニバルは宗教的な意味合いは薄れ、コスプレ大会のようなフェスティバル的なお祭りになりました。特にヴェネツィアのカーニバルは、仮面だけではなくドレスにかつら、タイツまで頭から足先まで完璧な仮装をしている人たちによって盛り上げられています。彼らはヴェネツィア広場や運河添いにある高級カフェバーでカクテルを嗜み、おしゃべりをしているのですが、見ているだけでこちらまで中世の貴族の世界に舞い込んだような感覚になるのです。仮装したヴェネツィア貴族を乗せた何十というゴンドラが運河に浮かぶ夜のパレードは、まさに目を開けてみる夢そのもの。私は長い間、彼らをヴェネツィアに住んでいるイタリア人だと思っていました。ところが実際に行ってみると、かなりの割合で外国人観光客(おもにアメリカ人)であるということを知り驚きました。彼らの中にはカーニバルのために、大金を注ぎ込んで毎年衣装や道具をもってヴェネツィアに来るというマニアが多いのです。中世のヴェネツィア貴族に変身するために完璧に仮装したアメリカ人。そうとは知らずに彼らの姿に惚れ惚れし、必死に一眼レフカメラや携帯で撮影しているイタリア人たち。よくよく見ると、なんともおかしな図があちこちで起こっているのでした。しかし、このシーンはまさにカーニバルの起源を象徴しています。
カーニバルの原形は古代ローマ時代の農耕神を祭るサトゥルナリア祭が始まりといわれています。このお祭りは12月の中旬に数日間行われていましたが、この期間は仮面をつけたり仮装をしたりすることで、なんと奴隷と主人の立場が入れ替わり盛大な宴会が繰り広げられていました。誰もが仮面をつけることにより社会的立場だけでなく、男性が女性になったり、またはその逆であったり自由な姿になることができました。
その後、中世のカトリック教会はこういった異教の習慣をなくすべく、サトゥルナリア祭はその原形を消してしまいましたが、これがカーニバルの由来ともいわれています。
自らの素性を隠し全くの別人になるという行為は、昔から人間の願望なのかもしれません。

そしてその後、実際にヴェネツィアのカーニバルが正式開催されたのは11世紀頃。
現在行われているカーニバルは、このように長い歴史から誕生したお祭りなのです。



【カーニバルのお菓子】

カーニバルのもう一つのお楽しみはお菓子。地方ごとにそれぞれのカーニバルのドルチェが存在し、そのほとんどが揚げ菓子です。最も代表的なものがキアッキエレ。‘おしゃべりをする‘という意味のこのお菓子は、小麦粉の生地を薄くのばしフライにして粉砂糖をかけたもの。素朴な味わいで食感もサクサクと軽く、いくらでも食べられてしまいます。

また丸いドーナツのようなカスタニョーレ。中にカスタードクリームやリコッタチーズのクリームが詰まっている子供も大人も大好きなお菓子です。その他、‘血‘という意味のサングイナッチョは、昔の農民たちが食べていた豚の血がはいったチョコレートクリーム。92年以降は法律により血を食品に入れることが禁止され、チョコレートだけのクリームになりました。2月に入るとこれらのお菓子がパン屋さんやお菓子屋さんにずらりと並び、今年もいよいよカーニバルの時期がやってきたんだなと認識します。
コロナ禍で2020年のカーニバルは開催2日前に中止、2021年は開催なし。外国人観光客もコロナ前に戻ったと言われている2023年は久しぶりに盛大なお祭りに行われると予測されています。今年のカーニバルは2月4日から21日まで。
ヴェネツィアはオーバーツーリズム被害を回避すべく、外部から来る人に対し今年から街へ入るための入場料を摂取するという規制を出しました。いろいろと社会状況が変化するものの、古代ローマ時代から受け継がれるカーニバルがこれからも長く人々を魅了するお祭りであってほしいものです。



■ヒサタニミカさんのご紹介

ヒサタニ ミカ
京都生まれ京都育ち。1996年よりローマ在住。 サントリーグループのワイン輸入商社のイタリア駐在員事務所マネージャーを経て、ワインや食材輸入業者のコンサルタント、イタリア飲食店日本開業プロジェクトのコーディネートを行う。25年以上にわたり、イタリア全国に広がる生産者やフード&ワインイヴェントを巡り、イタリア飲食界に纏わるメディアへの企画、取材、寄稿も行っている。また日本の大学への国際研修プログラムにて「イタリア食文化」の講師を務める。 AISイタリアソムリエ協会(正規コース)ソムリエ資格を取得し、現在ではイタリアで数々のワインコンクールの審査員を担う。





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