Withコロナのパリ生活|上野万梨子さんのフランスレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

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Withコロナのパリ生活|上野万梨子さんのフランスレポート

2020/07/14 10:00
フランスにおける COVID-19 新型コロナウィルスとの戦いは、3月17日からの都市封鎖によって始まりました。
段階を踏むタイミングに長けるということなのか、それに先立つ3月12日、週末に入る直前の木曜日夜にはマクロン大統領がテレビ演説で準備に入るよう国民に呼びかけ、その翌日以降の朝市やスーパーマーケットは買いだめ目的の人出で賑わいました。日頃はあからさまに慌てて行動するのはみっともないことと思っているフシがあるパリジャンが、前代未聞のロックダウンを前にさすがに準備に入るのは早かったようです。

都市封鎖前夜の、このたった数日間で、すでに人々は社会的距離をおいて店頭に並び、ファーマシーでは消毒ジェルやマスクが品薄になる事態になりました。


(上:人々が店頭に並ぶ様子)

3月7日、私が一時帰国からパリに戻ったときには、空港でマスクをかけて歩こうものなら、病気持ちの怪しい東洋人と間違えられるのではないかと本気で心配したものです。
出迎えの車のドライバーに、パリでコロナはどんな状況かと尋ねたら、昨日メトロの6号線に乗った人の感染が確認されましてね、、、というレベルだったものが、たった数日でこの事態になったのでした。

このいわば準備期間中に人々が買いだめしたものは、日本と同様にトイレットペーパーやペーパータオルといった紙製品。そして食品ではまず最初にパスタが売れ出し、そしてポテトチップスの棚もスカスカになったものです。ただ棚に補充されるのは早く、在庫は十分とわかると売り場はやがて元の状態に戻っていきました。
その頃市民に配られたイラスト入りチラシには、「手をマメに洗いましょう」 「咳をするときには腕で口をふさぎましょう」 そしてこれは日本人には驚きですが 「ティッシュを使ったら一度で捨てましょう」 「体に触れる握手やビズは避けましょう」 。それが2週後にはマスクが奨励されることになったのですから、これには驚いたものです。

「カフェやレストラン、劇場や映画館は国の生命にとって不可欠ではない」として直ちに営業を禁止されましたが、花屋も当然不要不急の職種として営業禁止に。ロックダウン前に鉢植えを買っておくべきだったと思った人は多かったことでしょう。
いざ花が買えなくなるとさみしいもので、外に出ると街路樹の足元の雑草の花が目につくようになり、コロナ前とは違う視点で外を歩く自分に気づいたものです。


(左:立ち入り禁止テープの張られたエッフェル塔の公園/右:街路樹の足元に咲いていた雑草の花)

閉店している花屋の店内をガラス越しに覗くのは女性ばかりでなく男性も。花のある暮らしを愛する人たちが多いことがうかがわれたものです。

そんな中でも朝市がオープンしていたのは喜びでした。社会的距離が守られているかポリスがまめに巡回しながらの営業でしたが、それも翌週末までで、ロックダウン後早々、10日ほどで朝市も閉鎖となったのでした。カフェ、レストランばかりか日常生活に不可欠なマルシェが消えて、パリの行動規制はますます厳格化。私の家から近い二ケ所のマルシェで週4回買い出しが可能だった暮らしがどれだけ豊かなことだったかを思い知ることになったのでした。
ロックダウン中、運動や買い物のために行動できるのは家から1キロ、1時間以内。外出理由申告書を持って家を出ます。街のあちこちでポリスの検問もありますから、マップに自宅からの距離がわかるメモリをつけたカード(写真下)を挟んで行動したものです。



その後、更に厳しい制限が設けられ、国民の我慢もこれ以上はとなった頃、政府は段階的、効果的規制緩和に着手。
いよいよ5月11日以降、待ち望んだマルシェは再開されたのでした。スタンドでは透明シートで商品と客を隔て、売り子は皆マスク着用(写真下)。



社会的距離はほぼ守られ、ほとんどの人がマスクをつけて並びます。買い物の行列はパリの風物詩のようなものですが、しかしその有り様はコロナ前とはすっかり変わりました。詰めて並べないので遠くからでは商品がよく見えず、待ちながら品定めすることが難しくなったのです。お金のやりとりもできるだけ避けたいと、わずか数ユーロでもカード決済するように。
それにしても、監禁生活明けが陽光降り注ぐ初夏でどれだけ良かったことか。
朝市にはハーブはじめプリムール - 初もの野菜- が山積みにされ、心浮き立つ季節だったことでどれだけ皆の気持ちが癒されたことでしょう。


(左:透明シートで商品と客を隔てた様子/右:山積みにされたハーブや野菜)

そして街では正常に戻る前の一段階を踏むために、カフェのテラス席での営業が許可されました。
歩道にテーブルや椅子を積み上げて準備する店があちこちに(写真下)。



近所のスターバックスが店頭に赤白テープで印をつけると、そこにスッポリと収まって飲食するパリジャンなのです(写真下)。



久しぶりに入ったいつものカフェのテラスに座って、つい先日まで見事に閑散としていた街に人が溢れ行き交うのを見ていると、一種感無量な気持ちになったものです。
ロックダウン中この人々は無数の窓の向こうで街を見下ろしながら耐えていたのですから。自由を愛するフランス人が、このパリジャンたちが、みんなよく頑張ったなと思うのです。

7月1日以降、カフェやレストランでは屋内営業も許可され、街はすっかり活気を呼び戻しています。街のいたるところでマスク着用を促すパリ市の広告が目につき、店頭にもマスクをつけて入店することを要請する張り紙がよく見られます。


(左:パリでは決してマスクなしで外出しません/右:パリではタッチ(接触)することなく挨拶しましょう)
(下:お花屋さんの扉の張り紙(ピング文字)には「マスクの着用必須です。ありがとう。」と書かれています)


スーパーの出入り口には消毒ジェルが置かれ、警備係が脇に立ってチェックするのも日常の光景になりました。

新型コロナウィルスとの戦いはまだ続いていますが、ロックダウンに際してフランスは誰に対しても平等に義務と責任を負わせたことで、国民を連帯させることには成功したと言ってよいのではないでしょうか。この国の運命には自分自身も関わっているのだという自覚あるフランス国民に敬意を評したいと思うのです。


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