フランスのバターその1|上野万梨子さんのフランスレポート|海外食品通販サイト ダイニングプラス(公式)

フランスのバターその1|上野万梨子さんのフランスレポート
2020/11/27 11:00
フランス人のバターの消費量は世界一で、年間一人8キロといわれています。ということはひと月当たりおよそ650g。
四人家族なら単純計算でひと月2.6キロにもなるのですから、そう考えると驚きです。
しかし家で消費するばかりでなく、外食の料理やお菓子、加工品に使われるものも含めてと考えれば理解できる数字ではあります。日本人のバターの使い道は、まずはパンにつけて、そしてお菓子作りが主ですが、フランスでは料理に欠かせないのがバターなのですから。




フランス風パンとバターの楽しみ方

フランス料理にバターがいかに重要であるかについては、また別の機会にお話しするとして、まずはバターといえばパン、パンといえばバター、そのフランス的食べ方をご紹介しましょう。どれにも共通するのは、柔らかくなったバターをパンに薄く塗るのではなく、バターはパンの上で厚みがなくてはいけないということでしょう。



■ サーディンバター
パンに無塩バターを厚めに塗り、オイルサーディンをのせ、ナイフで潰し、レモンを絞って食べる。
これはアペロの定番ですが、サーディン以外にスモークニシンも好まれます。 またなめらかに練ったバターに、つぶしたサーディンと、玉ねぎとディルを細かく切ったものを加え混ぜたタルチナード(パンに塗って食べるペースト状のもの)も人気です。

■ ロックフォールバター
ミルキーな牛乳製のチーズやハードタイプの山のチーズにバターを合わせて食べることはまずありませんが、ロックフォールチーズと無塩バターは黄金の関係です。ブルーチーズならではの塩気の強さと青カビの風味は、バターのミルキーさと合わせることで美味しさが何倍にも増すものです。好みで胡桃や蜂蜜をトッピングして。

■ ラディッシュバター
スライスしたバゲットにバターをぬり、薄切りににしたラディッシュと塩の華で。
かすかに苦味のあるラディッシュと、ミルキーなバターとの組み合わせは、フランス人が こよなく愛するアペロ向きの一品です。塩の代わりにプロシュート少々をあしらっても。



■ コーヒーシュガーのバタータルチーヌ
これは私流のバタータルチーヌの食べ方で、お勧めすればどなたにも大好評。細めのバゲットの切り口に、冷たさが残る有塩バターを厚めに塗り、香り高いエスプレッソを染み込ませた角砂糖をバターの上でつぶしながらのばして食べる、というもの。

■ 苺のタルチーヌ
無塩バターをパンに厚めに塗って、半分にカットした苺をおき、砂糖をふりかけたら2~3分おき、 少し染み出した果汁と砂糖で上面にツヤが出たところをいただきます。
バタークリームと苺のお菓子、フレジエールを好きな人は多いと思いますが、 こんなに簡単にその魅力を十分に楽しめると、どなたにも喜ばれるタルチーヌです。




(パり左岸のLa Grande Epicerie de Parisのバター売り場)

フランスに旅したらお土産にはバターを。そう考える方は多いのではないでしょうか。
そこで種類が多そうな高級スーパーマーケットに行ってみると、想像していたよりもはるかにバターの種類が多いことに驚き、そしてパッケージに書かれた情報を読み取りきれずに悩むのではないでしょうか。そんな時のために、以下にバター豆知識をまとめてみました。


生バターと殺菌バター



■ 生バター


搾乳後常に4度に保った牛乳から分離させたクレームを、殺菌によって加熱せずに、搾乳後72時間以内に作られたバター。非加熱のため、ミルクの風味豊かなバターになる。またクレームの発酵をどこで止めるかで、作り手による風味の違いが生じる点で、コンピューター管理され安定した工場生産バターにはない個性が生まれるとされる。殺菌していないので賞味期限は製造後2~3週間と短い。長期保存を目的としないため、多くの場合乳白の紙による簡易な包装である。


■ 殺菌バター
殺菌されたクレームを使用して作られたバター。パスツールによる1862年の実験で低温殺菌法が発見されたことから “パストゥリゼ “といわれる。生バターと明確に分けるため、パッケージには Beurre pasteurise と書かれる場合もある。




搾乳後72時間以内、かつ生乳からクレームを分離させ、発酵過程に入ってから48時間以内に仕上げられたバター。 賞味期限は平均3~4ヶ月。


使用するクレームの30%までの範囲内で、冷凍あるいは冷蔵保存クレームを使うことができる。賞味期限は平均3ヶ月から4ヶ月。
但し、すべてのバターに表示されているものではない。


無塩バター、薄塩バター、塩バター




■ 無塩バター 脂肪分82%


■ 薄塩バター 脂肪分80%
日本の有塩バター程度の塩気、100gのバターに対して塩 0.8g~3g


■ 塩バター 脂肪分80%
日本の有塩バターより塩気はかなり強い、100gのバターに対して3g以上の塩。
ゲランドの粗塩やクリスタルソルト(岩塩)などを使用。
パッケージには、このどちらかの塩であることが表示されている場合が多い。
なお海の自然塩は旨味の元である不純物も含むので、バターの日持ちはやや悪くなる。
それに対してクリスタルソルトは不純物がほとんど無いため日持ちは良い。



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